映画備忘録。
今回も簡便に。
① 『オマージュ』(2021年/韓国/108分/脚本・監督:シン・スオン/出演:イ・ジョ
ンウン・クォン・ヘヒョほか/日本公開2023年3月10日)
達者な演技のイ・ジョンウンにホン・サンスの映画によく出てくるクォン・ヘヒョ。あまり新鮮味は感じない。古き良き映画の時代を現代の韓国と重ねて描こうとしているが、迫ってくるものを感じなかった。オマージュというタイトルもいまいちピンとこない。
② 『エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス』(2022年/アメリカ/
139分/監督:ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート出演:ミシェル・ヨウほか
/日本公開3月3日)
アカデミー賞11部門ノミネート、7部門で受賞の大作。全くついていけなかった。長い。ひたすら我慢。『林檎とポラロイド』を見た時と同じ感覚。全く面白味を感じなかった。
③ 『逆転のトライアングル』(2022年/スゥエーデン・147分/監督:リューベン・オストルンド/出演:ハリス・ディキンソンほか/日本公開2023年3月23日)
『フレンチアルプスで起きたこと』『思いやりの聖域』が面白かったので楽しみにしていた映画。前2作と通じるところはわかる。人間の深層心理に分け入ろうとする意図とは別に、これでもかと汚物を出すのは勘弁しほしい。ユニークではあるけれど、なんだかなあ。目を背けることが多かった。それもまた監督の意図するところなのだろうけれど、かなりリアル。
原題は逆転ではなく、邦訳すれば『悲しみのトライアングル』。
それにしてもついていけない映画が多い。
④『Winny』(2022年/日本/127分/監督:松本優作・出演:東出昌大 三浦貴大、
日本の警察のおかしさ、マスコミや世間の偏見をきまじめに描いている。20年前に実際に起きた著作権法違反をめぐるファイルの共有ソフトWinny事件と愛媛県警の裏金事件を重ねて緊張感のあるドラマに。時代考証も丁寧。何より裁判シーンがリアル。東出昌大も好演。やり手弁護士役の吹越満が、前半素晴らしい演技。事実をきちんとという姿勢のせいか、映画そのものに深みと云うか奥行きが感じられないのが残念だが、こういう映画もっと評価されてもいい。韓国映画ならばユーモアをこめてえがく社会派ドラマというジャンルがあるような気がするのだが。