『ただ悪より救いたまえ』ファン・ジョンミンもいいが、イ・ジョンジェが凄い。これほど不気味で冷徹な雰囲気をたたえ、綻びのない悪の演技はなかなか見られない。

映画備忘録。3月14日、あつぎのえいがかんkiki 2本目。

『ただ悪より救いたまえ』(2020年製作/108分/PG12/韓国/原題:Deliver Us from Evil/脚本・監督:ホン・ウオンチャン/出演:ファン・ジョンミン イ・ジョンジェ 豊原功補/日本公開2021年12月24日)

「新しき世界」のファン・ジョンミンとイ・ジョンジェが7年ぶりに共演したノワールアクション。凄腕の暗殺者インナムは引退前の最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害する。コレエダの義兄弟だった冷酷な殺し屋レイは復讐のためインナムを追い、関わった者たちを次々と手にかけていく。一方、インナムの元恋人は彼と別れた後にひそかに娘を産みタイで暮らしていたが、娘が誘拐され元恋人も殺されてしまう。初めて娘の存在を知ったインナムは、彼女を救うためタイへ急行。そしてレイもまた、インナムを追ってタイへとやって来る。2人の戦いは、タイの犯罪組織や警察も巻き込んだ壮大な抗争へと発展していく。「チェイサー」「哀しき獣」などの脚本家ホン・ウォンチャンが監督・脚本を手がけ、「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが撮影監督を担当。(映画ドットコム)

 

韓国映画だが、舞台は日本とタイ。

いくつものサブプロットはあるが、あまり関係ない。これはファン・ジョンミン イ・ジョンジェの映画。

銃器も刃物もカーチェイスも、スケールとスピードが凄い。日本の映画はかなわない。

悪に徹するという点では、相手の指を次々に折っていくファン・ジョンミンよりどこまでも執拗にジョンミンを追い詰め、何度でも立ち上がってくるイ・ジョンジェがまさっている。

どうしてそこまでやるんだ?と訊かれて

「理由なんか忘れた」というのがいい。

これほど不気味で冷徹な雰囲気をたたえ、綻びのない悪の演技はなかなか見られない。

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一方のファン・ジョンミンはなんにでもなれる素晴らしい俳優。今までにも

『工作 黒金星(ブラックビーナス)と呼ばれた男』(2019)が印象深い。

『哭声(コクソン)』(2017)『ベテラン』(2015)もいいが、『国際市場で会いましょう』(2015)もよかった。優男がどんな役にもうまくはまる。イ・ジョンジェとの共演『新しき世界』は残念だが見ていない。

女性になりたくてお金を稼ごうとするタイの男性役を演じるパク・ジョンミンが、映画全体の緩急の緩の部分をうまく演じている。画像11