引き続き日大背任事件。
検察特捜は田中逮捕に踏み切れないというアピールをしているのではないかと書いたが、一方、特捜部は忖度どころか必死で田中理事長を追い詰めているよという見方もある。
その根拠は田中理事長の自宅からみつかった1億円超の現金だ。
yahoo ファイナンスのQ&A。国税局の告発されて修正申告すれば刑罰を科されることはないのかという質問があった。
以下回答の一部。
【実刑の目安と罰金額】
捕脱税額が1億円以上で申告率がゼロか著しく低く(捕脱税額が高く)、 捕脱の手口も申告納税制度の根幹を破壊するような悪質なものは実刑率が 高くなります。また、捕脱税額が3億円以上の場合にも、実刑率が高くなります。 その場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(脱税額が上回る 場合には脱税相当額以下)に処し、又はこれを併科するとされています。 しかし、被告人が本税、附滞税の全部あるいは一部(相当部分)を納付して いる場合は、他に被告人に有利な状況(例えば、捕脱資金を個人的に費消 していない等)があれば、執行猶予相当となることもあります。 実刑以外に罰金刑を併科することは、最高裁によって重加算税を賦課しても 二重処罰に当たらないと判示されていますので、罰金額刑罰として併科される ことになります。法の規定は、最高限度脱税額と同額までの罰金額まで併科が 可能であるとされています。 実務上では、捕脱税額の20%から40%相当が多く、捕脱税額と同額の罰金 刑罰はほとんどみられません。また、ほとんどのケースで、実刑のほか罰金刑が科 されています。
これを読むと、理事長宅で見つかった1億円超の現金が一切申告されていない場合、国税局は地検に告発、地検が捜査して起訴、罰金と実刑が科されるということになる。
しかし田中理事長は、井ノ口被告と藪本被告から渡ったという7千万円について「お礼のようなもの」を通している。
彼のところにはこういう「お礼」があちこちからくるのか?そのつど紙袋に入れている?指摘されれば、一億円に満たない額だからいずれこれについては申告するつもりだったとして修正申告、罰金で済んでしまうのだろうか。
残りの現金については報道では日大側が(弁護士ということか)「理事長の妻が経営するちゃんこ料理店の利益や、理事長の役員報酬などの個人的な財産。税務申告は適切に行っていると聞いている」見解を述べている。
これでは申告していない現金は1億円なんてとてもを超えない。
逮捕、実刑はないということになる?
別の報道では見つかった現金は2億円というのもある。
実際のところは地検関係者が報道にリークするのにはそれなりの目的があるのだろうから、これは「理事長逮捕があるぞ」ということなのか、それとも「ないよ」ということなのか。リーク元もいくつもあるのだろう。
今、検察内部だけでなく永田町の中でも、この問題を巡ってさまざまな勢力がしのぎを削っているのだろう。理事長逮捕を阻止しようとする勢力と、逮捕を目指す特捜との間の暗闘があるとしたら、それはそれでいいことだ。
この問題、あたりまえだけどつまるところ巨額の利権。
日大付属板橋病院の建て替え工事が、この背任事件の舞台だったわけだが、この板橋病院、移転の話もあったという。東武線の沿線の駅の高層ビルのなかへの移転が取りざたされたが、賃料を巡って契約が成立しなかったという。
ここに関わった政治家がいたのではないか?
田中理事長が云う(自分が逮捕されたら)「ばらまいたお金のことを全部しゃべる」というのは、この移転問題の利権に関わったことなのではないか。
しかし解せないのは、任意の取り調べの中で
「このお金は何ですか?」
「いや知らない。お礼だと言っておいていったものだ」
「なんのお礼ですか?」
「それは具体的に何とは言っていなかったからわからない」
「はいそうですか。それじゃ罪があるとは言えませんね」
素人考えでは、わざわざ子会社をつくり、そこで生じる巨大な利権から生まれたお金、「このお金は取引であなたの名前を使わせてもらったそのお礼です」ということならば、もらった方が何のお金か具体的には知らなくても、結果的に日大から出たお金が理事長である自分のところに還流しているのだから、明らかに背任行為なのではないかと思うのだが。
田中理事長の妻のバッグの中から帯封のついた100万円の札束が見つかったという。この帯封は井ノ口被告が出金した銀行のもの。
何とも生々しい。井ノ口被告は田中理事長に取り入るため、毎晩のようにフットボール部の選手を連れて”ちゃんこ屋たなか”を訪れ、毎回30万円ほど支払っていた。そのうちに近くにマンションが売りに出ていると田中の妻に言われ、井ノ口被告はそのマンションを購入、そこに移り住んだそうだ。
こうして夫婦に取り入り、巨大利権を握り藪本と共謀、億単位のお金をせしめた2人。
2兆円規模と言われる日大の総帥に取り入った井ノ口被告。安倍前首相とも親しくかったという藪本被告。
素人には計り知れない闇が顔をのぞかせているのだろう。
日大の理事らは相変わらずよけいなことは言わない。13年間でつくられた独裁体制に逆らえばどんな報復があるかみなよく知っているからだそうだ。