日本大学医学部付属板橋病院をめぐる事件で、背任罪で起訴されていた日大元理事井ノ口忠男被告と大阪市の医療法人錦秀会の前理事長藪本雅巳被告の二人は17日、医療機器などの調達についても2億円を上乗せ、日大に損害を与えたとして、再び背任罪で追起訴された。取り引きに関与したコンサル会社代表の吉田徹也容疑者も在宅起訴された。
これで日大側の損害は、板橋病院の建て替え工事を巡る設計・監理で流出させた2億2千万円と合わせて4億2千万円にのぼる。
ふたりの被告は、きのう19日、東京拘置所から保釈されたそうだ。
東京地検は準抗告せず、保釈保証金は井ノ口被告が4千万円、藪本被告が8千万円、そのほか保釈条件として事件関係者との接触が禁止されたというが。
日大の端っこに引っかかっている身として、この事件、看過できない。やり方が乱暴、
粗雑。ガキ大将の力をかさに着ての弱い者いじめ。
新聞とネットの記事を見るだけなのだが、しかしどうもこの事件、胡散臭い。額面通りには受け取れないところがある。
事件の中心は、日大事業部という子会社を設立して、その中心として元理事の井ノ口被告が暗躍。藪本被告と結託してコンサル料などの名目で資金を流出させていたというものだが、もう一つ大きな中心は、井ノ口被告を重用し、日大事業部設立をバックアップした田中理事長への現金供与の問題だ。
井ノ口被告が田中理事長の権威をかさに着て、病院で使う高額機器から学内の自動販売機の飲料一本一本に至るまで、物品納入のすべてを日大事業部を関与させてきたのは周知の事実。
ところがどうも、検察の動きが鈍い。それに裁判所もどうなっているのか。
検察は2度までも田中理事長宅を家宅捜索。最初は田中理事長も含めて背任罪で立件する腹づもりだったのではないか。しかしその剣先が鈍くなっている。
今まで出てこなかった家宅捜索の中身がようやくここにきて表に出てきた。驚くべき
2億円である。
特捜検察部から漏れ出てくるその中身で分かっているものは、
①2020年2月6日 都内ホテルで 1千万円
②同 年8月7日 都内焼き肉店で 3千万円
③2021年6月3日 日大理事長室で 1千万円
④同日 妻経営のちゃんこ屋で 2千万円
計7000万円が2被告側から田中理事長側に渡っているという。妻の財布から井ノ口被告が出金した銀行の帯封のついたお金が見つかっている。
井ノ口被告は、①については「藪本さんからのお礼」②については「設計事務所からのリベートの一部」として渡したという。③④についても取引に介在させた会社からの還流であることは間違いないようだ。
ところが、検察はどこか及び腰に見える。
背任罪の成立には、日大に損害を与えるという認識や、自分や第三者の利益を図るという目的を立証しなければならないとし、田中理事長を共犯者とするには、田中理事長は手元に来た資金がつくられる仕組みまで理解していたという証明が必要になるというのだ。
日大側は一貫して「損害は受けていない」と主張しているし、井ノ口被告も日大に損害を与えたとは供述していないという。
「現金を受け取っていても、全体の構造を知らなければ背任罪の共謀認定は簡単ではない」(検察幹部)
そんなものは口裏を合わせれば何とでもなるのではないか。
2被告は「理事長は何も知らない」として、取り調べの中で巧妙に田中理事長を守る供述を続けてきたのではないか。検察もそれを追認、「田中理事長は罪に問えない」という情報を意図的に流しているのではないか。せいぜいが所得税法違反で修正申告、罰金まで。
起訴するかしないかは検察の胸先三寸。検察は不起訴の時には理由を明らかにしないことが多い。起訴も不起訴も好き勝手にできる。麻雀とばくで略式起訴され、検事総長になれなかった黒川検事長はどれだけ安倍政権を守るために「不起訴」を使ったか。だから安倍は定年延長をしてまでも閣議決定で彼を検事総長にしたかったのだ。
日大事件も視点を変えれば違うものが見えてくる。
一説では、田中理事長は「自分を逮捕されたら、今までばらまいてきた金のことを全部しゃべるぞ」と言っているという。
お金をばらまいた相手は、もちろん政治家、あるいは官僚。ほの暗い金の流れをばらされると困る連中は、必死に検察に対して硬軟取り交ぜての工作をしているのではないか。
その結果として「田中は罪に問えない」「日大は損害を受けていない」したがって理事長の法的な責任はない、というところに落とし込んでいこうという流れがつくられつつあるのではないか。
保釈された二人は、関係者との接触を禁止されているとはいうが、そんなもの何の歯止めにもならない。
検察は、本気で田中理事長の背任罪を立件しようという気があるのなら、最低でも準抗告はすべきだ。
もう一度記すが、
「現金を受け取っていても、全体の構造を知らなければ背任罪の共謀認定は簡単ではない」(検察幹部)
こんな理屈って通るのか?
貰う方は、その金がどういう理由で自分のところに来るのか、普通は知っているはずだし、知らなければ「こんな金が受け取るわけにはいかない」だろう。
マンモス大学を舞台に繰り広げられた巨額のマネーゲーム。
学生たちは、「日大」の文字が躍る新聞紙面をどんな気持ちで見ているのだろうか。
毎回の授業で事件の新聞記事を資料として提示している。無関心から脱しつつあると思っているのだが。
・日大問題に関しては特にいうことはありません。もともと日大にそんな期待はしてい ません。早く卒業だけして今後一切関わり合いたくないのが本音です。今回の問題に対してもまたか。それだけです。
・日大の問題はしっかりと考えないといけない内容だと感じました。ですが、人ごとに感じている人が多いのかなと感じました。自分たちのお金を不正に使うようなことは、あってはならないことだと思います。暴動が起きてもおかしくないと思いますが、自分自身も人ごとに感じている部分があるのでしっかりと考えて、取るべき行動を起こそうかと思いました。
・日大問題については呆れしかありません。日大問題だけではなく政治や色々な会社にもいえることだと思うが、結局バックにはバックがあり、操られているようなものではないかと考えてしまう。自分は、操られるような人間にはなりたくない。いつでも自分が正しいと思う道を進み続けていきたいと思った。
・日大の問題では、自分が在学している大学のトップがこんなことばかりしていたら大学に対しても強い不信感が生まれてしまいます。何をしても替え玉と沈黙作戦で自分の保身ばかりする理事長さんのやり方はすごくおかしいと思いますし、今までも実はもっとたくさんの悪行を、行っているのではないか、これからも同じようなことを繰り返してしまうのではないか考えてしまうのは当然だと思います。自分は部のキャプテンくらいですがトップに立つ責任を感じています。トップだからこそ我慢しないといけない場面や、自分の言葉一つで変わってしまうことなどたくさんあります。それより遥か高い位置にいる理事長さんはもっと強い責任感をもってほしいです。そして罪を認め、日大がこれからより良くなっていくことを期待しています。
・日大問題についてはもう怒りを通り越してむしろ笑いに変わりつつあります。笑い事ではないだろと思われるかもしれませんが、実際ここまで権力者がほとぼり冷めるまで沈黙を続けようとしていると思うと、本当にドラマや漫画で描かれそうなことが実際に起こっていて可笑しくてたまらない。『金に溺れ息のできない(沈黙している)権力者』・・・現代に風刺画家のビゴーがいるなら是非ともこの現状を絵にして売ってほしいところである。
・日大に関しては呆れてしまいました。自分は直接関係しているわけではないが、この人たちに自分たちの学費の一部が払われていたりすることを考えると腹立たしい気持ちになりました。