入院、手術、退院、自宅療養。そして広島、長崎。幸せな手をもつ市長の不幸せ?

7月22日に、明日から入院、と書いて20日ほどが経った。

 

手術は予定通り、ではなかった。はじめの目論見では1時間程度のつもりであったが、実際には3時間を要して、予定の鎮静剤の6倍の量を使用したという。想定よりは大きかったが、無事に患部を切除、摘出したとドクター。最後は意識が戻ってしまってつらかった。

とはいえ、開腹手術ではなく内視鏡によるものだから、予後は点滴とわずかな服薬に絶食だけ。

日を追って三分がゆから五分がゆ、全がゆへ少しずつ移行するのだが、食べ物を制限されるのはつらいもの。することといえば、いくつかの検査とあとは横臥しているだけだから、すこしずつ病人になっていく気分。

 

カーテン越しに聞くともなく聞こえてくるのは、病気をめぐる夫婦間の、家族間の、親子間の際限ない悲喜こもごも。ときには家族の歴史のうえの怨嗟も含めた諸事情。聞かれていることを承知しながら言わずにはいられない思いのたけは、声を潜めているだけにかえって重く響いてくる。

気がつけばこれも「病気」のほうへ引っ張られていくもとに。

 

成人してから4度目の入院になる。最後の入院は06年だったから13年前になるが、決定的に違うことがいくつかあった。

 

病室の入り口の名標がなくなった。個人情報保護の観点からの措置だろう。見舞い客は名標をみてベッドを訪ねることができない。

 

取り違え防止の対策も何重にも。毎日、何度も生年月日と名前を復唱する。

 

病気によって違うのかもしれないが、病室の6つのベッドのカーテンがいつもしまっている。以前入院した時は、昼間はもうすこし開放的だったような。

新米患者としての挨拶もできず、名標もないものだから名前もわからない。

食事は、すべて上げ膳据え膳だから助け合うこともない。互いの病気、病状はカーテン越しに聞こえてしまう繰り言から想像するしかない。

 

看護師について。

女性看護師はもうスカートははかないようだ。それと男性看護師が増えた。

ナースステーション内は総じて静か。多くの看護師がパソコンをみている。

廊下にもキャスター付きデスクのパソコンをみている看護師が常時いる。こんな光景は13年前にはなかった。

 

看護師のシフトはよく見える。というのも交代のときには必ず「これから担当します○○です」とあいさつに来てくれるからだ。中には「私は時短です。子どもを産んだばかりなので」という人もいる。ERではないから一定にシフトは守られているようだ。

 

それに比して、ドクターの勤務はブラック。

私の担当ドクターは30代の女性の助教だが、早いときには7時前に病棟に二人で顔を見せる。通常だと9時過ぎから通常の診察。午後には手術が入っている。そして遅いときには消灯時間の直前に病棟に回ってくる。

どんなふうに勤務時間管理がなされているのか。残業手当が支払われるとはいえ、早朝から深夜までの勤務では、気持ちもカラダも休まらない。それが診察や手術に影響を与えなければいいのだが。

 

時々、大人数の回診がある。教授を先頭にヒエラルキーの末端の、メモを取っている研修生まで10人ぐらいが病室に入ってくる。同じ回診でも私のところには2人。それでも親身な言葉をかけてくれるのがありがたい。

 

患者のQOLを高めるというのが病院の目指すものの一つに入っているが、差額ベッドではない通常の病室のQOLは基本的に何十年も前と変わらない。

 

7日目に退院。あっという間だったが、それでも気分は病気、病人に。家族も含めて見舞客の訪問が病人にとってはやはりうれしいもの。ゆっくりとプライベートに話す場が病室に近くにないのが残念。これもQOLのひとつ。

 

 

 

新聞を読むと、相変わらず肚の立つことが多い。

6日、9日の広島、長崎の式典。安倍は相変わらず厚顔。被爆者や市長の提言をまともに受け止めようとせず、空疎な気持ちのこもらない言葉を繰り返す。小型核兵器の開発を進めようとするトランプに一言も言えないポチ。

 

そんな中、中学生を引率してきた幸手市長が、深夜の酒場で女性従業員を殴打し、暴行罪で逮捕されるという事件が起きた。

深夜にコンビニ行くと言ってホテルを出て、すでにしまっていたコンビニの前でタクシーを拾い繁華街へ。ビール1,2本を呑んで、女性従業員と2軒目へ。その店を出ようとしたときに警察官が駆け付け、現行犯で逮捕されたという。

 

道義的責任を追及する声は強い。昨日の記者会見には多数のマスコミが駆け付けた。

市長は「記憶ない」のではなく「身に覚えがない」と主張。

司会を務めた弁護士、久保豊年さんという広島の弁護士。対応が論理的で非常にキレがあるので、最後までみてしまった。

 

誰かが嘘をついている。市長がどんな人であれ、これが冤罪であるのなら大変なことだ。