2025年6月の映画寸評(9)
面白かった映画を⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から⭐︎まで勝手に評価。
『ガール ウィズ ニードル』
2024年製作/123分/PG12/デンマーク・ポーランド・スウェーデン合作/原題また
は英題:Pigen med nalen/配給:トランスフォーマー/監督:
マグヌス・フォン・ホーン/出演:ビク・カルメン・ソンネ トリーヌ・ディルフォム/劇場公開日:2025年5月16日
kiki 6月24日 ⭐️⭐️⭐️⭐️
解説・あらすじ
スウェーデン出身でポーランドで映画制作を学び、これまでに発表した長編「波紋」「スウェット」もそれぞれ高い評価を得たマグヌス・フォン・ホーンの長編監督第3作。第1次世界大戦直後のデンマークで実際にあった犯罪を題材に、混沌とした社会のなかで貧困から抜け出そうと生きる女性の姿を鮮烈なモノクロームの映像で描いた。2024年・第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたほか、第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされた。
第1次世界大戦後のデンマーク、コペンハーゲン。お針子として働きながら、貧困から抜け出そうと必死にもがく女性カロリーネは、恋人に裏切られて捨てられたことで、お腹に赤ちゃんを抱えたまま取り残されてしまう。そんな中、彼女はダウマという女性と出会う。ダウマは表向きはキャンディショップを経営しているが、その裏で秘密の養子縁組機関を運営しており、貧しい母親たちが望まない子どもを里親に託す手助けをしていた。ダウマのもとで乳母として働くことになったカロリーネは、ダウマに親しみを感じ、2人の間には絆も生まれていくが、カロリーネはやがて恐ろしい真実を知ってしまう。
カロリーネ役は「MISS OSAKA ミス・オオサカ」「ゴッドランド GODLAND」のビク・カルメン・ソンネ、ダウマ役は「ザ・コミューン」で第66回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しているトリーヌ・ディルホム。(映画.comから)
第一次大戦後のヨーロッパの混乱と貧困。その中で1人で生きなければならないカロリーネ。怒りと諦念の感情を裡に押さえ込み、前に進まざるを得ない女性にとって妊娠と出産は常に避けられない問題だ。
「この街ではよく人が消える」という惹句は、不気味なミステリーを想像させるが、確かに犯罪を題材にしているが、ミステリーというより人間の不可解さを追求した映画のように思えた。
街並みのセットが圧倒的。屋敷、お菓子屋、浴場、工場、どこをとってもこれ以上のリアリティはないほどだ。その上モノクロだから殺伐とした空気がスクリーンに充満する。もちろんそこに登場する人々もつくりものとは思えない出来栄え。
ひたすらカロリーネの視点を追っているから、やや一本調子のようにも思えるが、それでも目を背けられない。スクリーンの中に引きずるこまれるような気分。裁判のシーンもいい。ダウマを演じたトリーヌ・ディルフォムの存在感がすごい。
監督が男性というのにちょっと驚いた。
