風のうわさ。
散歩をしていると、まれにこの言葉を実感することがある。少し違う気もするのだけれど。
1ヶ月ほど前、町田市と大和市の間の鶴間橋(横浜と大和市の間にも同名の橋があるのだが)の近くで「橋の近くでカルガモの赤ちゃんが生まれたようだ。川に戻れないところを戻してやったらしい」という話をいつも会うカワセミカメラマンの方から聞く。
へーッと思ってそっちに向かって歩くと、すれ違った見知らぬ人たちが、カルガモが生まれた話をしている。
橋のたもとには人が集まっている。しかしカルガモは見えない。
帰り道、歩いていると自転車を押している高齢の女性と並んでしまう。問わず語りにその女性が、カルガモがね・・・。
いつの間にか、私たちは川面にカルガモの親子を探している。
昨日、2キロほど歩いて少し汗ばんできた頃、携帯ラジオ片手にどちらかというといつも不機嫌そうなおじさんが、川面のフェンスにうずくまっている。
視線の先を見ると、なにやら小さなものが動いている。
親カモ1羽の周りにうごめく子ガモたち、なんと8羽。
「生まれて1週間も経っていないんだよね」
孫を愛でるようなにこやかな表情で。
顔に産毛が見える。体調7〜8cm。
今までにも何度見たことがあるが、こんなに小さなものは見たことがないし、8羽というのも初めてだ。
今朝、同じ場所に差し掛かると、おじさん、やはりうずくまっている。
終日、見守っているのかもしれない。
今回も、陸に上がってしまったのを誰かが川面に誘導していやったとのこと。
帰り道、宮本さんに出会う。
カルガモの話。
「そうなんだよな。生まれてまだ数日だと思うよ」
と言いながら、バッグをゴソゴソと。
「どう、これ? あげるよ」
いただいた写真がこれ。
かなりの望遠だが、親がものあとをついていく8羽。