映画『君はまだ長いトンネルの中』この20年の日本経済のでたらめさを女子高校生が喝破する。『インフル病のペトロフ家』降参!

映画備忘録。

7月5日。

『君はまだ長いトンネルの中』(2022年製作/87分/G/日本/原案:消費税増税反対botちゃん/監督:なるせゆうせい/出演:加藤小夏 北川尚弥/日本公開:2022年6月17日)

 

2019年に発売されネット上で話題を呼んだ漫画「こんなに危ない!? 消費増税」を原作に、日本の未来を問う高校生たちの姿を描いた青春映画。高校3年生の高橋アサミは元財務省の父の影響で、政治に対して独自のイデオロギーを持っていた。政治経済の授業では疑問に思ったことを教師に問いかけ、論破してしまう。やがてアサミはクラスメイトの安倍や中谷と共に、自分たちの力で少しでも未来を明るくしようと、衰退しつつある商店街を盛り上げるべく立ち上がる。新聞で商店街のお祭りについて取り上げてもらうため、地元の若手記者・荒畑の元を訪れたアサミは、その帰り道、元戦隊ヒーローとして活躍していたタレント議員の武藤と出会う。「踊ってミタ」の加藤小夏が主演を務め、舞台「炎炎ノ消防隊」など漫画原作舞台を多く手がける脚本家・演出家のなるせゆうせいが監督・脚本を担当。(映画ドットコムから)

 

 

 

いい時期に封切られたのだから、もっと見られてもいいと思うのは私だけか?

残念ながらつくりはとってもチープ。難点を挙げればきりがないのだが、よいのは主演の加藤小夏のはっちゃけぶり。わざとらしい演技も多いのだが、理屈で教員や財務官僚、政治家をやっつけるところはひと工夫あって、観衆を味方につけている。

アベノミクスや緊縮財政、消費税増税法人税減税がこの20年の日本をどれだけ落とし込め、格差を拡大し、豊かな暮らしを阻んできたか、今の選挙でいえばれいわ新選組が主張してきたややプラグマティックとも言える内容がほぼそのまま展開される。

政治家も教員も虚を突かれるのはとっても陳腐で、女子高生のひとり勝ちのようになってしまうのが物足りない。しかしそれはそれで面白い。高校生や大学生が見ればどう思うのだろうか。

選挙の前にこの映画を見れば、少なくとも自民党に投票しようという若者はいなくなるだろう。

ただ、はじめに触れたが、日本経済批判以外はとってもチープ、加藤小夏でもってはいるが、せっかくつくられた稀有な政治映画。もっと深みのある激しい論争を仕掛けてみてもよかったのでは?画像1

 

もう1本。

『インフル病みのペトロフ家』(2021年製作/146分/R15+/ロシア・フランス・スイス・ドイツ合作/原題:Petrov's Flu/原作:アレクセイ・サリニコフ/監督:キリル・セレブレンニコフ/出演:セミョーン・セルジン他/日本公開:2022年4月23日)

「LETO レト」など映画監督としても注目を集めるロシア演劇界の鬼才キリル・セレブレンニコフが、ロシア文学界でセンセーションを巻き起こしたアレクセイ・サリニコフのベストセラー小説を映画化。2004年、ソ連崩壊後のロシア。大都市エカテリンブルグでインフルエンザが流行する中、ペトロフは高熱にうなされ、妄想と現実の間をさまよっていた。やがて彼の妄想は、まだ国がソビエトだった頃の幼少期の記憶へと回帰していく。ロシア社会への強烈な風刺を込めつつ、妄想と現実の境界が曖昧な原作の世界観そのままに、型破りな芸術的感性と刺激的なアクションを散りばめて描き出す。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、フランス映画高等技術委員会賞を受賞。(映画ドットコムから)

お手上げ。

面白い?意味が解らないところがほとんど。ソビエト時代からロシアへ移っていく時期の矛盾に対する痛烈な批判なのだろうが、ぶっ飛びすぎてカタいアタマには全く入ってこない。それに長い。あちこちつながっているのはわかるのだが、先月の『チタン』もそうだったが、ついていけない映画。画像4