ロシア、ウクライナを侵略。日本政府にはG7やアメリカに追随するだけでなく、独自の平和戦略をもってほしい。

ロシアが戦争を始めた。

まるで満州事変のようなきたないやり方だ。

ただ、戦争は政治とは異なる手段をもってする政治の継続、とすれば、侵略には違いないが、これをロシアの一方的なものとだけ決めつけるわけにはいかない。

アメリカ、NATOとの政治的駆け引きの線上で、この侵略が始まったとすると、プーチンはアサドや金正恩と同じというバイデンのきめつけをそのまま受けとるわけにもいかない。

 

ロシア軍は多方面からウクライナに侵攻、一部はベラルーシとの国境16㎞にあるキエフ州プリピャチのチェルノブイリを占拠しているという。これは、今までにない狡猾なやりかた。ルカシェンコ大統領のアシストによるものだろう。ウクライナはこれを予想しなかったのか?

問題は普通の人々の命。

多くの難民が生まれている。ポーランド国境には毎日数万人のウクライナ人が押し寄せている。

欧州に散らばるウクライナ人のなかには国境を越えて帰国しようとする人たちもいる。「武器をもって戦ってほしい」というゼレンスキー大統領の呼びかけに応えて「祖国のために闘う」という若者たちがテレビに映し出されている。笑みを浮かべない表情から緊張感が伝わってくる。

 

いまのところNATOは武力介入をしていない。アメリカも経済制裁にとどまっている。

これをどう見るのか。何らかの戦略があって傍観しているのだろうか。ないはずはないと思うのだが。

 

ロシア内部の反対運動も報道されている。これに対する弾圧も激しいようだ。内部からのプーチン批判、政府への突き上げが戦争を止める大きな力になるはずだ。

世界中ではウクライナ人だけでなくロシア人もSTOP WARと叫んでいる。渋谷でもウクライナ人のデモがあった。

 

プーチンウクライナとロシアは一体だという。ウクライナを独立国と認めない見下した思い込みは、中国の香港や台湾に対する習近平と全く同じものだが、それでもこの時代に武力による侵略を堂々と始めたことは理解を超えている。

プーチンの勝算とはどういうものか。

 

一つ間違えば欧州全域の戦争。

国連の安保理が機能しない中、日本はなにができるのか?

国際社会のなかで、平和を求めてどんな役割が果たせるのか?

 

日本政府にはG7やアメリカに追随するだけでなく、独自の平和戦略をもってほしいものだ。

 

2018年にポーランドアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所を訪れた時、クラクフの街で日本語を学ぶ人々との交流に参加した。HISのスタディツアーの一環。

日本からはカルタなどのカードゲームやおもちゃ、食べ物、雑誌、漫画などをめいめいがお土産として持ち込みプレゼント、現地の人たちは軽食を用意してくれた。

日本の漫画が人気で、「MANGA」という言葉がポーランドで通用することを知った。

 

私が入った交流のグループには、石油会社のシェルに勤めるポーランド人のロマさんという32歳の男性と、ウクライナからの留学生でキエフ出身のビクトリアさんという19歳の大学生がいて、日本語と片言の英語でおしゃべりをした。

その時のことを記した日記を見ると「大変に盛り上がって楽しい時間を過ごした」とあるが、今でも覚えているのは、私がクリミア半島併合とロシアの話を持ち出したときに、それまで日本の文化などについて明るく会話をしていたビクトリアさんが、ややけげんな表情を浮かべたことだ。

慌ててすぐに話題を変えたのだが、この時、ウクライナ人にとってロシアとの関係が単純なものでないことを知識ではなく、実感として受け取った。ロシアに対する感情の違いは、その人の家族の歴史による固有のものであり、「一般的」なものではないということだ。

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