見逃し映画の覚え書き⑤『夜空はいつも最高密度の青色だ』『サニー強い気持ち 強い愛』

6月27日
昨日、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』のブルーレイを少し遠いTSUTAYAで借りてくる。いつも行くTSUTAYAにはなかった。

 
午前中、昭和大学藤が丘病院、診察。Mさんもついてきてくれる。

クルマで行ったので早く着いてしまいTully’scoffeeで時間をつぶす。

 

診察はほぼ予約時間通り。CTの結果を聞く。特に大きな問題もなく予定通りの手術を行うとのこと。近藤(誠)理論も気にかかるが、いろいろ考えた末、同意する。

サポートセンターにて入院の手続きと説明。入院の前に細かいヒアリングが必要とのことで来院しなければならないとのこと。

 


お昼時なので、青葉台『めん処しかた』へ。隣のお好み焼きの『福』には何度か呑み会で来たことがある。姉妹店のようだ。

「しかた」はラーメン屋としてネットで評判が高く、人気店。ぐるなびでは3.5。初めて入店。

Mさんはゆず塩ラーメン、私は塩ラーメン。けっこうな時間がかかって運ばれてくる。細麺。九州ラーメンの麺ほどではないが、それほどプリプリしていない。スープ、うまいけど感動はない。チャーシュー、これはほろほろと崩れて美味。ひとことずつ感想。Mさん「高い」、私「ぬるい」。酒のつまみに注文したザーサイ、これはしゃれにしゃれていた。価格も立派だが。

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午後はDVD。



きみの鳥はうたえるは映画も石橋静河もびっくりするほど良かった。それで初主演の本作ではどうなのかとTSUTAYAでレンタル。

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石井監督の作品は川の底からこんにちは』(2010年)『あぜ道のダンディ』(2011年)をみた。2作品ともそこそこ楽しめた。『町田君の世界』が今月公開。


で、『夜空~』。悪くはないけれど…。

何か伝えたいものがあって、断片を組み立てていこうとしていることはわかる。しかし、どこかぎこちない。

 

松田龍平池松壮亮田中哲司もいい。部分部分はいいのに、全体的につくりものっぽさがあるのはどうしてか。都会の片隅で掃き捨てられるような生き方をしている男たちがいて…、都会ではみなスマホを見続けていて…親子関係には深い溝があって…的なステロタイプが映画を安っぽくしているように思えた。

 

リアリティ、厚みを感じないというか。最果タヒに引っ張られすぎている?

その中で美香(石川)と慎二(池松)のからみはよかった。いつも「死」を抱えて生きている若者のこわれやすさに共振する二人。石川静河はまだ未開花という印象。

 


『サニー強い気持ち 強い愛』(2018年8月公開・日本・監督大根仁・出演篠原涼子広瀬すず小池栄子ともさかりえ渡辺直美

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『サニー 永遠の仲間たち』(2011年・韓国)のリメーク。換骨奪胎?大事なエキスが抜けてしまっていて面白くない。何が足りないか。

f:id:keisuke42001:20190629124055j:plain『サニー永遠の仲間たち』

懐かしいばかりの青春ではなくて、ひりひりするような痛みのようなものがない。家族関係や仲間とのつながりのどうにもならなさ、焦燥感のようなものが韓国版にはあった。

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1989年の街頭での市民と権力の対峙がベースにあったせいもあるが、日本版では90年代の女子高生全盛時代?の風俗だけがトピック化されていて、演出に時代的な深みがない。震災の影響を受けているはずの広瀬すず(現代のシーンは篠原涼子)が抱えているものがちっとも迫ってこない。広瀬の痛みも伝わってこないし、現代の篠原涼子も同様。娘との薄い関係や夫との冷えた関係もほおりっぱなし。全体に見かけだけを真似たやすっぽいリメーク版だと思う。笑えるところはいくつもあったが。

この年代の女の子たち、自分たちのグループを『サニー』と名付けるか?

 

 

夜、Rさんのお母さんから電話。わざわざ弔問のお礼に電話をくださったのだ。

お母さんと最後にお話ししたのは28年も前のこと。声はよく覚えている。

 

病気の発症、1年に及ぶ看病、娘婿、孫たちのこと。思春期で難しいこともあって…と、ご夫婦で大変な苦労をしながら娘の家族を支えてこられたことが伝わってくる。一人娘をこんなに早く亡くしてしまって、悔やんでも悔やみきれないとの嗚咽が受話器から聞こえてくる。

すこしだけ中学時代のRさんの話をすると、
「うちの子は影の薄い子ではなかったですか」と云う。

そんなことはない。毎日、毎日続く「荒れ」に疲弊していた学級担任の私がクラスに戻ったとき、「荒れ」をものともしないで、安定して生活していた何人もの生徒の笑顔にどれだけ救われたか。

Rさんもその一人だった。文化祭では、当時人気絶頂だったちびまる子ちゃんを題材に「マルちゃんクイズ ズバリそうでしょう」という企画を立てた。教室中にマルちゃんのキャラクターを張り巡らし、回答席を4つ作り、ボタンを押すとピンポンとなって光るライトも用意した。たくさんの人が来てくれて、明るい文化祭になった。その中心になっていたのがRさんだった。


「情けない担任を陰でずいぶん助けてくれたんですよ」と云うと「そうですか」とちょっと笑い声。


15分ほどの電話を切ってから考えた。43歳になったRさんはどんなふうな大人になっていたのか。かなうはずもないことだが、話してみたかったなと思う。