日々の備忘録のために。検査・「記者たち」・ストラトス四重奏団ことなど。

備忘の用途のために少し日々の記録を。


5月28日
朝から雨。ひところの真夏日とは打ってかわって少し肌寒い午後。

昭和大学藤が丘病院で検査。

O医院のときは経鼻での検査だったが今回は経口で。鎮静剤を使う同様の検査だが、カメラがまだ体内に残っているうちに鎮静剤が切れてしまう。少し慌てるも、医師の声が聞こえてなんとか。


昨夜、夕食を食べてから絶食。

入ったことのない藤が丘駅前のすき家へ。通勤でこの前を通っていたころ、ここはスパゲティ屋さんだった。牛丼定食。アルコールは控える。


5月29日
朝から快晴。朝食、散歩のあと庭の花木に水をやって、洗濯、掃除、浴室掃除、アイロンがけ、クリーニング屋など午前中は家事に専念。年に一度の消防点検も入る。生活を維持するための家事は際限のない繰り返し。大変な仕事だ。一人暮らしもあと少し。


午後、2月の「中澤晶子さんを囲む会」での中澤さんのお話の最終まとめ。

荒起こしは若いY先生がやってくれたので、私の方で整理したうえで、中澤さんに手を入れてもらって戻していただいた。2時間ほどでようやく完成稿に。5月中に参加者に渡すことが出来そうだ。


年に一度、ヒロシマ修学旅行に関わる市内の教員が中華街の牡丹園というお店に集まって交流会を開いている。その中心が広島在住の児童文学作家の中澤晶子さん。上京の折りを見計らっての設定。


中澤さんには広島現地で生徒への講話をお願いしたり、碑めぐりにも付き合っていただく。そんな関わりがあり、教員になった卒業生も出席した。

 

もともとのきっかけは、光村図書の国語(中1)の教科書にチェルノブイリ原発事故を題材とした『あしたは晴れた空の下で』の一部「いのちということ」が「命ということ」として掲載されたこと。3年間の掲載だったが、横浜市の中学校とは20年を超えるつながりが続いている。


毎年、宴会の前に20分ほどお話をしていただく。聞き流すのはもったいないので、ここ数年は録音を起こして、参加できなかった人たちにも提供している。

もし読んでみたいという方がいらっしゃればメールで送りますので、ご連絡ください。

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庭の紫陽花 その①


5月30日
本厚木kikiで「記者たち 衝撃と畏怖の真実」(2017年・米・91分・原題:Shock and Awe・監督ロブ・ライナー・出演も)

 

映画の前に日高屋で「野菜たっぷり湯麵・麺少な目」を食べる。これで4回目ぐらいか。以前から「麺がもっと少なくてもいいのに」と思っていた。よくぞつくってくれた新メニュー。


kikiでは経営主体が代わっても、映画が始まる前の従業員による「前説」が続いている。以前にも書いたが、今でも時々拍手がでることも。


作品のラインアップもコンセプトがはっきりしてきていると思う。

見に行こうという意欲を刺激する組み方。

それに、私は見たことがないが、朝9時30分から30分間入場無料で「予告編イッキ観!!」上映があったり、「あつぎ驚音プロジェクト!」としてスクリーン1で21インチ大口径ウーファーをガンガン響かせる上映なども行っている(鳴り物入りの絶叫上映もやっている)。

トークイベントや舞台挨拶も月に何度かある。横浜のシネマリンやシネマジャックアンドベティ、新百合ヶ丘のアートセンターなどの1.5番館?とも連携しているようで、大手シネコンではやらないマイナーな映画の上映を意識しているようだ。けっして近くはないが、横浜や渋谷、新宿などに出掛けるより気分的に楽なこともあって、つい足を向けてしまう。

 

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さて「記者たち」。監督のロブ・ライナーは名作『スタンド・バイ・ミー』や『ミザリー』『最高の人生の見つけた』をつくった人。今回は映画の舞台となる新聞社ナイト・リッダー社の編集長役でも出演している。役者としても重厚で説得力のある演技を見せる。

https://youtu.be/PweuuM4tJvI

 

映画はイラクの「大量破壊兵器」をめぐっての政治的な駆け引きと、それに引きずられるニューヨークタイムズワシントンポストなどの大手紙、そのなかで、弱小の新聞社が独自の情報網を駆使して「大量破壊兵器」の存在に対し疑義を呈し続ける様を、二人の新聞記者とその家族を通して描いている。

 


2003年開戦当時、日本でも全く同じことが起きていた。小泉首相の「フセインが見つからなかったら、フセインはいなかったということになるのか」というすさまじい屁理屈で「大量破壊兵器」が存在すると主張するアメリカ・ブッシュ大統領武力行使を支持、2004年には自衛隊イラク派遣している。


大量破壊兵器」は実際には存在せず、有志連合による武力行使によってアメリカは5000人近い戦死者を出し、イラク側は民間児を含む50万人を超える犠牲者が出た。


情報戦という言葉には、互いに客観的で精度の高い情報をもとに政治的なさや当てをするというイメージがあるが、実は「客観的で精度の高い情報」を探し出すことは極めて困難であり、現実は真贋が入り混じり、フェイクも堂々と歩き回る無法地帯。「客観的で精度の高い」情報の占めるスペースはあまりに狭い。求められているのは、自分の理屈にうまく合う都合のいい情報なのだ。


資本や企業の欲望を体した政治家たちの策謀のおもむくまま、情報は恣意的に選別され、まるで生き物のように一定のベクトルをもったものとして動き始める。いったんその方向に流れだせばこれをとどめることは容易ではない。


これは高度情報社会となった現代だから起きる問題ではない。80年近く前の日米開戦時にも同様のことがあったのではないか。政治家(軍人)も自分が欲しい情報しか欲しがらない。

 

問題は情報の精度ではなく、情報の取捨選択の権限を誰が握るかということだ。

 

主導権を握った者は、他の情報をシャットアウトし、自らのもつ情報こそあたかも「客観的で精度の高い」ものであるかのように触れ回る。理屈など後からついてくるのだ。

 

2003年の小泉首相の屁理屈がそれを表している。


映画のほとんどは、そうした「情報戦」の中で悪戦苦闘する弱小新聞社の人々が描かれる。映画をみている側は無意識にナイト・リッダー社を応援するが、それは当時としては「神の視点」だったろう。人々の多くは当然のように大手新聞社を指示し、好戦的なブッシュを消極的であれ支持したのである。


日本でもよく知られたトミー・リー・ジョーンズロブ・ライナーの演技、二人の記者とその家族の軋轢なども含めてリアルに描かれている。実写フィルムも効果的なのだが、しかし見終わってみるとどこか「中抜け感」があるのはどうしてだろう。題材は十分にドラマチックであるのに、なんだか何か足りない。記者や編集長の反骨心とは別に、そこでの心理的な葛藤の描き方が意外にさっぱりしているからだろうか。91分と最近の映画にしては短いせいもあるかもしれない。

 


Kikiを出たのが16時過ぎ。向かうのは鶴見のサルビアホールストラトス四重奏団(Stratos Quartett)のコンサート。開場時間は18時30分。急いでいないときに限って電車はちゃんちゃんとやってくる。海老名で小田急から相鉄線に、横浜で京浜東北線に乗り換える。

久しぶりの鶴見。南口は何年ぶりだろう。まるで違った街になっている。

 

開場時間まで喫茶店で本を読む。アーナルデュル・インドリダソンの『声』(柳沢由美子訳)アイスランドのミステリー。あっという間に時間が経つ。


サルビアホールの正式の名称は、横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール。公的施設である。座席は546席。ステージの奥行きがかなり広く演劇やオーケストラのコンサートにもに使われるようだ。このほかに100席の音楽に特化した小ホールがあるらしい。


ほぼ満席。ピアノカルテットというややマイナーな編成なのに。


第9回神奈川・ヨーロッパ友好音楽祭チャリティコンサートと銘打たれているからかもしれない。主催はイベント会社ではなくナイス株式会社・YOUテレビ株式会社という民間企業の名前が並んでいる。

ナイス株式会社は木材・建材の販売を本業としている会社。YOUテレビは神奈川を中心とするケーブルテレビの会社。文化芸術分野での企業の社会貢献活動。メセナと呼ばれるものだ。ふつうのコンサートに比べて案内の人がやたら多く、説明がいちいち丁寧なのはそのせいだろう。

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ストラトス四重奏団は、先週26日に多摩市民館で聴いたマグレーダ・エーバーさんとヤン・リスカのグループ。ストラトスとは「成層圏」の意味。メンバーはお二人とピアノの佐藤麻理さん、ヴァイオリンのカタリーナ・エンゲルブレヒトさん。

 

6年前に結成。2013年のブラームス国際室内楽コンクールで第1位、2017年ベートーヴェン国際室内楽コンクールで第1位、総合グランプリ賞受賞。ふだんはウイーンを中心に活動、ヨーロッパ最高峰の四重奏団といわれている。

何度目かの来日で、今回は、新横浜のグレースホテルのディナーコンサートや共立講堂など各地で演奏する。


今日のプログラムはJ・ブラームスのピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25、休憩をはさんでピアノ五重奏曲ヘ短調作品34の2曲。どちらもちゃんと聴くのは初めて。


圧倒された。

 

前半のカルテットは基幹となる4人で。

融通無碍というのだろうか。とにかく一人ひとりが自由にのびやかに弾きまくる(音も大きい)が、ヤン・リスカさんを司令塔にピアノの佐藤さんが包み込むようにして4者がまとまっている。こじんまりしていない。繊細にして大胆、重厚さと軽やかさを兼ね備えている。

 

後半のクインテットは第二ヴァイオリンに吉田恭子さんが入る。ヨーロッパの人たちのの中に入ると華奢で若く見えるが、すでに9枚にCDをリリースしている演奏家。違和感なし。相当にすごい手練れが集まった感じ。圧巻の演奏、完膚なきまでにやっつけられた。底知れぬものを感じた。フルオーケストラを聴き終わった感覚。


ホールを出ると少し湿った風が吹いている。ほてりをさましてくれる。菊名の和食のHはすでに閉店時間、Rでウイスキーでも呑もうと、東神奈川を回らずにバスでショートカット。しかしRは休み。珍しい。こうなると帰途には長津田のSしかない。菊名から横浜線

店に入ったのは22時をまわったころ。夕食を兼ねての独酌。帰宅は24時を過ぎた。らい、起きて待っている。トイレ散歩に少しだけ外へ連れ出す。一人暮らしもあと少しになった。

 

5月31日
赤ん坊の顔を見に行く。バスで鶴ヶ峰バスターミナル、歩いて鶴ヶ峰駅。星川下車5分。もうすぐ産まれて1か月。ミルクをよく飲むとのこと。体重も4000グラムを超えて顔もしっかりしてきている。病気としっかり闘っていくぞという気概?を感じる。
昼食をつれあいと娘と3人で。1時間半ほどで辞去。

 

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