日産が発売したスポーツカーGT-R「大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル」が当初予定の50台を完売したという。2月中旬までキャンセル待ちを受け付けている。
価格は1260万円。安くはないが、もっと高いクルマはたくさんある。売り出し台数50台はずいぶん控えめだ。ゴーン問題で腰が引けているのか。
続いて、かどうかわからないが、シチズンが『シチズン エコ・ドライブBluetoothユニセックスモデル』を1月14日から1000台を販売、それ以前に発売されているものとは区別され「大坂選手の躍動感あふれるダイナミックなプレイ・イメージからインスパイアされた、ビビットなオレンジ色でカラーリング」したのだとか。色が黒ではなくオレンジというのが大きな違い。
こちらは価格は8万円(税別)。高い、とは言えない。腕時計をつける人が減っているからか?
大坂なおみは、日産やシチズンと「アンバサダー」契約を結んでいる。アンバサダーは大使とか代理人といった意味だが、一日親善大使、とか一日署長のようなものに近いか。タスキを巻いて笑顔を振りまくそれとは、契約の中身と金額が全く違うような気がするが。
かと云って、スポーツカーと大坂なおみ、時計と大坂なおみはどうつながるのか?クルマの機能や時計の機能と大坂のテニスは直接つながらない。まあイメージはつながるのだろうけれど。
全豪で大坂はクルマで登場しなかった。当たり前だ。出場を取り消される。
でも時計は着けていた、ゲームの最中も。
写真を見ればわかるが、シチズンのこのモデルに間違いない。白のリストバンドと並んでオレンジの色鮮やかなベルトが巻かれている。
でも、よくわからない。テニスをするのに時計がいるのか?
振り返らなくても試合の経過時間は相手選手の後ろに表示されているし、試合をしている以上、時刻を気にするのも変だ。予定があるからお先に、というものではないだろう。
この時計、電話やメールの着信がBluetooth機能でわかるというから、電話かメールを待っていたのか?それもないだろう、普通。
ということは、シチズンからの依頼か。それとも大坂が自分の判断で着けたのか。いずれにしても、それを見越したシチズンの意を体したカメラマンは、鮮やかな色彩ごと切り取って私たちに見せてくれた。
広報担当としては小さくガッツポーズ。
スキーなどでは、試技終了後の評価待ちのときや表彰式の時に必ずスキー板の裏側の企業名を載せる。
これを使って飛びましたとか滑りました、とってもいい道具ですということなのだが、かなりあざとい。
大坂の場合、クルマには乗ってこないし、テニスに時計を使う必然性が全くない。
あえて云えば、GT-Rにしてもエコドライブにしても、精細な技術に裏打ちされたパワフルな高機能、洗練されたデザイン性が、世界トップに躍り出た現在の大坂なおみとイメージが重なるのだろうということだ。
だから、商品は売り切れる。買った人は「いいだろう、なおみモデルだぜ」と口に出すかどうかは別として満足している。
かにかくに全米、全豪と4つのグランドスラムのうち2つを続けて取ってしまった大坂なおみの「商品価値」は、私たちには想像もつかないものがあるようだ。
クルマをもたない若者が増えているという。長女のダンナはゴルフに行くとき、カーシェアを使う。腕時計をしない人も増えている。それでも、クルマや時計のCMは減っていないという。
売られているのは機能ではないということだ。
今、パソコンの隣に腕時計が二本ある。一つはカシオ、初めて高度計測ができるようになったもの。10年以上前のものだ。珍しいのがうれしくて周りに自慢したものだ。が、価格はなおみモデルに比べて4割も安い。もう一本は7年ほど前の正月の麻雀大会で優勝した時の商品。これは廉価品そのものだが、これもいまだほとんど狂わず動いている。
でも、最近はどちらも使うことがない。
クルマは?
免許、もっていないんだけど。