ここ二日間、曇天。明るくなりきらないうちに歩き始め、薄日が差してくるのも悪くない。
4,5日前の早朝、北の方角から飛来して西に旋回するサギの羽の裏に、明け切ったばかりの陽光があたった。紺碧の空に一瞬の黄金の輝き。
珍しいシーン。サギの群れはところによっては公害そのものというが、2羽3羽と飛んでくると、優雅な動きに目が惹きつけられる。
『火山のふもとで』(松家仁之・2012年)。
2013年の読売文学賞作品。ずいぶん話題になったらしいが、つい最近までこの作家の名前すら知らなかった。
去年、紹介されて『光の犬』(2017年)を読んだ。物語のつくりと端正な文章にひきこまれた。なつかしいけど新しい、そんな小説だった。
12月に『優雅かどうか、わからない』(2014年)を読んだ。タイトル、装丁ともに意表をついている。小説としての結構が際立っていて、正直手のひらの上でごろごろと転がされた感じ。
そして『火山のふもとで』。
面白かった。舞台は80年代。メモを取って少しだけ文章を引き写した。
今、『沈むフランシス』(2013年)に手を付けている。先を急がない。ゆっくり読む。久しぶりの読む愉しみ。
刊行されている松家の小説はこの4冊。
松家は新潮社でクレストブックスをつくった人だそうだ。
納得である。