地方自治体でも“水増し”が常態化しているとされ、別に雇用率が定められている教育委員会でも徐々に実態が明らかになってきている。国から地方まで官は、コンプライアンス無視の行状を繰り返してきたということだ。

    今日28日、政府は障害者雇用の水増し問題で、昨年6月1日時点での再調査結果を公表した。33の行政機関のうち27の機関で計3460人の誤った算入があり、法定雇用率は2.3%(当時)には到底及ばない1.19%であったことが判明した。


    地方自治体でも“水増し”が常態化しているとされ、別に雇用率が定められている教育委員会でも徐々に実態が明らかになってきている。国から地方まで官は、コンプライアンス無視の行状を繰り返してきたということだ。

f:id:keisuke42001:20180828152848j:plain

 


 ある省庁だけが“水増し”していたというのなら特殊なケースと言えるが、これだけ広範に“水増し”されているとすると、そこには何か共通する意識があるものだ。

 法令で定められたものをどの段階かで「こんなものきっちりやっていたら大変だよ。どれだけ手間がかかると思っているんだ。どうせ調査などしないんだからそこそこの数字を出しとけばいいんじゃないか」と言い出した輩がどの機関にもいた。そして慣例として暗黙の了解が築かれていった。

 どの世界にも法の網を潜り抜けようと発想する者はいる。問題は彼だけにあるのではなく、たとえ消極的であれ、それに合意を与え続けてきた人々がいたということだ。

 自分の眼の前をこの問題が通りすぎるとき、それが稟議なのか調査なのかわからないが、「これってだいじょうぶなのか?おかしいんじゃないか?」と思わなかったのか。

 指摘しても「よけいなことを言うな」と握りつぶされたのか。いちばん気にかかるのは、これが「重要な問題」と認識されていたかどうかということだ。

 いずれにしろ、根拠のない雇用率達成の数字を届けていた担当の行政マンには、後ろめたい心性などなかったのだろう。毎年毎年のことだし、暗黙の了解と申し送りがあるのだし、罰金も罰則もない。法定雇用率をわずかでも超えていれば、問題となることはないだろうという官僚の究極の“辻褄合わせ”だ。

 

 長い時間でたらめが温存されてきた。立場を代えてみれば、障害者は40年以上も働く場を奪われてきた。よってたかって軽くあしらわれてきた。障害者をどこまで軽く見るかという行き場のない怒り、悔しさは、当事者でない私にも共有できるものだ。

 調査はこれからも続く。民間は本当に大丈夫なのか。

 

 権力は必ず腐敗する。行政は権力に追随して腐敗するし、一人芝居でも腐っていくということだ。

 どこかに彼らの腐敗を支えてしまうような心性が私たちにないのか、怒りを感じながらも、わが身と心を振り返ることも必要だと思う。

 

 


 さくらももこさんが亡くなった。53歳。乳がんとのこと。

 

 『ちびまる子ちゃん』に初めて接したのは90年代の初め、テレビ放送が始まったころだ。まる子は子どもらしいだけでなく、時に毒を含んだ機知が大人もニヤッとさせる、そんな子どもで中学生にもとっても人気があった。

f:id:keisuke42001:20180828153123p:plain       

f:id:keisuke42001:20180828153140p:plain

f:id:keisuke42001:20180828153158p:plain


 80年代からの荒れを引きずって、対教師暴力やいじめ、カンパ、器物損壊、シンナー、タバコ、万引きなど毎日のように起こる学校、30代の学級担任であった私は、文化祭の企画が決まらず困っているときに“まる子”に助けてもらった。

 どこからか「まるちゃんクイズ、ズバリそうでしょう」という企画が出てきて、フツーの子たちが、目色を変えて準備に走り回った。5つの回答席にはボタンを押すとピンポーンの音と同時に電気もつく最新のシステム?を技術科の先生の協力を得て作り、教室中にB4に印刷したマルちゃんのキャラクターをはりめぐらし、賞品のプレゼントをつくり、主題歌を大音量で流した。いつもはおとなしい子たちが、教室の前で呼び込みをしていた。

f:id:keisuke42001:20180828153217p:plain


 教室は、シンナー少年が暴れて破壊行為を繰り返していた場所とは思えないほど明るい雰囲気になった。なによりフリョ―君たちが中心の学校が、いっときフツーの子たちの学校になったことが面白かった。なんでもとりあえず邪魔をしたりこわしたりする身上のフリョー君たちも、珍しくこの企画を楽しんだものだ。準備の2週間ほどの間、教室にはまるちゃんの歌と『リンダ リンダ』が入り乱れて流れていた。

 

 彼らはもう40代半ばに差し掛かる。いいおじさんおばさんである。まるちゃんはというと、今でも昭和40年代を生きながら人気を失ってはいない。

 たまちゃん、花輪くん、丸尾くん、はまじ、みぎわさん、藤木くん・・・お姉ちゃん、おじいちゃんにおばあちゃん、お父さん、お母さん・・ざっと90人の登場人物を一つの作品で産み出した作家はそうはいない。今風に言えば驚くほど皆キャラが立っている。

 

 素晴らしい才能が早逝するのは残念だが、彼女が残していったものは大きいと思う。というのも私にとってのさくらももこさんは「荒れる中学」と「まるちゃん」を結び付けてくれる人であって、二つは両極端なように見えてなぜかうまく同居している、そんな不思議な90年代初めの学校を想起させてくれる人だからだ。

                      

 ご冥福をお祈りします。

 

 

f:id:keisuke42001:20180828153735j:plain松島の晩夏