2024年9月の映画寸評⑧
<自分なりのめやす>
お勧めしたい ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
みる価値あり ⭐️⭐️⭐️⭐️
時間があれば ⭐️⭐️⭐️
無理しなくても ⭐️⭐️
後悔するかも ⭐️
(72)『愛に乱暴』(2024年製作/105分/G/日本/原作:吉田修一/脚本:森ガキ侑大 山崎佐保子 鈴木史子/監督:森ガキ侑大/出演:江口のりこ 小泉孝太郎 風吹ジュン/劇場公開日:2024年8月30日)
9月26日 movix橋本 ⭐️⭐️
「悪人」「怒り」などで知られる作家・吉田修一の同名小説を江口のりこ主演で映画化し、愛のいびつな衝動と暴走を緊迫感あふれるタッチで描いたヒューマンサスペンス。
初瀬桃子は夫・真守とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。桃子は義母・照子から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、石鹸教室の講師やセンスある装い、手の込んだ献立といった“丁寧な暮らし”に勤しんで日々を充実させていた。そんな中、近隣のゴミ捨て場で不審火が相次いだり、愛猫が行方不明になったり、匿名の人物による不気味な不倫アカウントが表示されるようになったりと、桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。
徐々に平穏を失っていく主人公・桃子を江口が演じ、夫・真守を小泉孝太郎、真守の母・照子を風吹ジュン、真守の不倫相手・奈央を馬場ふみかが演じた。監督は「おじいちゃん、死んじゃったって。」「さんかく窓の外側は夜」の森ガキ侑大。
脚本が雑すぎる。脈絡のない不穏さの羅列。
夫の浮気に怒る主婦が、床下に埋めおいた流産した赤ん坊の服をチェーンソーで切って掘り出す・・・。床下に埋めておいたのならどうしてわざわざチェーンソーを買いに行って床を切らなければならないのか。ピーちゃんという猫が埋められているというふうにオーディエンスをミスリードしておきながら、後出しの流産からのエピソード。雑。夫(エンドロールで名前を見るまで小泉孝太郎とは思わなかった。私だけ?)が、大事な時にどこからともなく現れる不自然さ。それも3回も。
放火、コンビニの店員、夫の浮気相手・・・エピソードが回収されないまま放置。オーディエンスは置き去り。不出来なジグソーパズルのピースがいくつも欠けているという感じ。
原作は読んでいないが、大部のものであるからこれほど単純な話ではないのではないか。
江口のりこにあて書きしたような、ハマりすぎの分だけ不自然。『あまろっく』『おかあさんがいっしょ』と3本続いて江口の映画を見たが、エキセントリックなところばかりが強調されていて、江口の良さが全く活かされていないと思った。もっと深みと奥行きのある演技が見てみたい。森ガキ侑大の作品は『おじいちゃん死んじゃったって』がとっても良かったので、期待していただけにがっかりした。
吉田修一の作品は読み応えがある。原作、読んでみようと思った。