台風がさったあとのくっきりした入道雲、まだまだ暑熱はさらない。

台風7号が通過して行った時には気温が2、3℃下がったのだが、昨日は朝から快晴に。

映画に出かける途中のバスの中から、絵に描いたような入道雲がいくつも見えた。まるでこれから夏本番!と言われているようでつい目を逸らした。

今朝、今年3組目のカモの母子4羽を見た。カモウオッチャーのおじさんによると、8月初めに生まれた時には8羽ほどいたそうだが、きょうだいはカラスにやられたのではないかとのこと。

3羽をつれた母ガモの背後から成鳥のカモ3羽が近づくと、母カモはごく当たり前のように追い払う。表情?はわからないから怒っているのかどうかはわからない。本能のなせるわざ。

1時間の散歩中、気温が上がってきて歩くはやさが急速に落ちてくる。時々足も痛む。

15年前、鶴見川河畔を歩いていた頃、1㌔を10分で歩いた。今では15分かかるのではないか。よく中高年の人、今日も小柄の同じ女性に何度も追い抜かれる。この女性、狭い区間を回遊しているからだ。うしろからついてくるMさんも口には出さないが、「おっちゃん、遅いなあ」と思っているのではないだろうか。

追い抜かれることが多くなったせいか、最近はあまり気にならなくなった。元気な時の頃を考えるとキリがない。駅の階段もつい手すりのある端っこを降りる。エレベーターやエスカレーターがあれば、迷わず使う。あとづけのエレベーターはホームの端にあることが多いので、差し引きを勘定して乗るかどうか決める。

今日の映画は『大いなる不在』、藤竜也、71歳の老人役、渾身の演技。私が見た中では藤竜也のベスト!また今度寸評に。

 

歩くといえば、芥川賞を受賞した『バリ山行』という小説を読んだ。珍しく月刊文春を買った。

芥川賞発表のあとでも高いから普段は買わない。買ってしまったのは、受賞作2作がカット無しで全文掲載されていたからだ。

松永K三蔵の『バリ山行』は、単行本は受賞が決まったあと7月末に単行本が。朝比奈秋の『サンショウウオの四十九日』は発表と同時くらいにやはり単行本が発売されている。前者は講談社、後者は新潮社。文藝春秋も指を咥えて見ているというわけにはいかないということか。

発表誌には受賞の言葉やインタビューもあり、講評も載る。単行本2冊買うよりも(買わないが)お得。

 

『バリ山行』、達者な表現で引き込まれた。「バリ」は「バリエーションルート」のこと。決められた登山道を行かずに道なきみちをいく登山のこと。六甲山が舞台だが、低山でもルートを外れれば大変な山行になる。会社の不安定さ、その中で不安定な位置にいる主人公の思索と、同じ会社の、周囲とあまり交わらないバリ山行を毎週のようにする男の話。

今、『サンショウウオの四十九日』を読んでいる。全く傾向が違う。これはこれでひとことでは言えないが、すごい小説だ。こういう小説を読んで評価する作家の人たちがいる。想像がつかない。