『パラレル マザーズ』フランコ時代の虐殺の歴史と赤ん坊取り違えが、私の中ではパラレルにならなかった。残念。

『パラレルマザーズ』(2021年製作/123分/R15+/スペイン・フランス合作/原題:Madres paralelas/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:ペネロペ・クルス ミレナ・スミット イスラエル・エレハルデ/日本公開2022年11月3日)

 

写真家として成功しているジャニスと17歳の少女アナは、同じ病院の産科病棟で偶然出会い、同じ日に女の子を出産。ともにシングルマザーとして生きていくことを決意していた2人は、再会を誓って退院する。ところが、ジャニスがセシリアと名付けた娘は、父親であるはずの元恋人から「自分の子どもとは思えない」と言われてしまう。それをきっかけにジャニスがDNA検査をしたところ、セシリアが実の子でないことが判明。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑うジャニスは、悩んだ末にこの事実を封印し、アナとも連絡を絶つ。しかし1年後、偶然アナと再会し、アナの娘が亡くなったことを知る。(映画ドットコムから)

 

 

この映画ドットコムのあらすじを読むと、赤ちゃん取り違えのドラマのように見えるが、物語の背景にはスペインのフランコ時代の虐殺の歴史があり、それをペネロペが演じるジャニスと関係を持ってしまう歴史学者とが発掘を行うという筋書きがある。

とにかく展開が早い。物語はどんどん進む。

二人の妊婦の関係は出産後深まり、アナの家庭の問題もひとつの流れとなる。そしてアナとジャニスの同性愛の性的関係が入り、取り違えがわかってからふたりの関係は難しくなっていく。

途中に挿入される虐殺の歴史は、後段部分でジャニスの親戚の物語と重なり、発掘に至るのだが、正直私はついていけなかった。

全体に評価が高いのだが、どうしても歴史問題と取り違えの問題がうまく重ならず(もちろん家族の歴史、血筋、血統のような問題として重ねていると思うのだが)テンポにもついていけなかった。

ペネロペの演技のキレはすごいものがあるが、最後まで映画の中に入れなかった。私の理解力が足りないのだろう。残念。