『路上』153号(2022年11月刊)

仙台在住の歌人佐藤通雅さんが発行していた『路上』という雑誌がある。発刊は1966年。季刊で55年間、150号をかぞえ、2021年に終刊した。しかし、その後ページ数、発行回数を減らし、刊行されている。

今号の内容は、1989年の河野裕子さんへのインタビュー記事の再録、佐藤さん22首詠「転生」と大森静佳さん22首詠「蚊の時代」、佐藤さんのエッセイ「あやしこりん界」、佐々木隆二さんの〈路上ギャラリー〉写真集 あやしりんこ界(上)、武良竜彦さんの「評論 渡辺京二 小考ー虚妄の近代を討つ思想と行動。最後に拙稿『教員のミカタ』。

 

新刊のことをマクラに公立学校教員という仕事の現在について考えてみた。

スキャンなどいろいろやってみたのだが、PDFファイルがこのフォーマットには載らないので、汚いコピーになってしまった。すみません。

 

 

佐藤さんの22首詠「転生」の中から

 

一初の噴霧で地面に落とされてなほゆつくりと動くハチたち

 

スズメ来てヒヨ来てスズメを追ひ払ふヒヨ去りそしてスズメの朝餉

 

咲いて散る散りて若芽をもたらせる季節の緑にまたも立ち会ふ

 

新ジャガとダイコン・ニンジン次々とぶっこむ業に長けきたるかも

 

前掛けを締め閖上産味噌を溶くけふ一日のはじまりとして

 

投函のたびにコトンと音するは遠い記憶の欠片のやうで

 

キリの花咲くころなれば願ふなりこの世のたれにも転生よあれ