『川っぺりムコリッタ』「そっち」でいちばん素晴らしかったのは、ホームレスの人のギターと墓石売り(吉岡秀隆)の息子、小1ぐらいか、彼の弾くピアニカの2重奏。ああ、自分も「そっち」に行きそう。

映画備忘録。10月2本目。6日、グランベリー109シネマ。

『川っぺりムコリッタ』(2021年製作/120分/G/日本/原作・脚本・監督:荻上直子/出演:松山ケンイチ ムロツヨシ 満島ひかり 黒田大輔 江口のり子 尾形直人 吉岡秀隆 田中美佐子 柄本佑 笹野高史 薬師丸ひろ子ほか/2022年9月16日)

 

かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」の荻上直子監督が2019年に発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督で映画化。松山ケンイチ主演、ムロツヨシの共演で、孤独な青年がアパートの住人との交流を通して社会との接点を見つけていく姿を描く。
北陸の小さな町にある小さな塩辛工場で働き口を見つけた山田は、社長から紹介された古い安アパート「ハイツムコリッタ」で暮らし始める。できるだけ人と関わることなく、ひっそりと生きたいと思っていた山田の静かな日常が、隣の部屋に住む島田が「風呂を貸してほしい」と山田を訪ねてきたことから一変する。山田と島田は、少しずつ友情のようなものが芽生え始め、楽しい日々を送っていた。しかし、山田がこの町にやってきた秘密が、島田に知られてしまい……。
主人公・山田役を松山、島田役をムロがそれぞれ演じる。タイトルの「ムコリッタ(牟呼栗多)」は仏教の時間の単位のひとつ(1/30日=48分)を表す仏教用語で、ささやかな幸せなどを意味する。(映画ドットコムから)

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6日は公開から3週目、グランベリーパーク109シネマズは、8時55分~が1回きり。4週目にはいかなかった。

10番スクリーンは一番小さい72席。客は5人。45分過ぎたあたりでお一人出て行って、戻ってこなかった。

 

タイトルもストーリーも異色。

お骨と食事・・・人はいろいろなものを抱えながらも食べる、食べる、食べる。

食べるシーンがとにかく多い。おかずは炊き立てご飯にかけるいかの塩辛と漬け物。

うまそうだ。

淡々とした日常が繰り返されながら、最後はお骨に。

いいシーンが多いし、セリフも深みがあって面白い。

社長尾形直人のいまいちズレたアドヴァイス、工場の同僚の江口のり子のセリフ、元花火師タクシー運転手笹野高史の妻の送り方、いのちの電話薬師丸ひろ子の「個人的な話ですけど・・・」

みな一ひねりしっかり効いている。

 

でも、何か物足りない。うまく言えないけれど、「そっち」にばかり行かないで、という感じ。

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その「そっち」でいちばん素晴らしかったのは、ホームレスの人のギターと墓石売り(吉岡秀隆)の息子、小1ぐらいか、彼の弾くピアニカの2重奏。

たくさんの廃品、いくつもの古い公衆電話の前で、どこからともなくかかってくる電話を待ちながら演奏される曲のなんと心地よいことか。

 

ああ、自分も「そっち」に行きそう。

 

松山ケンイチはいつもいい。

ムロツヨシ、今までで一番良いと思った。