教員免許更新制は廃止されたが・・・法としての立て付けの悪さを反省することなくまた机上の空論からでてきた新たな研修制度が導入される。国は公立学校を自ら崩壊させていくようだ。

柿の葉が目に鮮やか


3日ぶりに境川河畔の散歩道へ。

1か月ほど前、5本の桜の木の下にハナニラスイセンが咲いていた町田市の小さな市有地。草が膝丈以上に伸び、桜の葉が繁茂して、光の届かない小さな森のようになった。

70年代?に境川の蛇行を改修したためにできた小さな空き地、何か所かある。

 

今朝のカワセミ、すっと飛んできて岩にとまると、首を何度もふっている、よく見ると長いくちばしに小魚が。飲み込むために魚の位置を変えているようだ。

 

先週は、小さなホバリングから水中にからだごと突っ込み、魚を捕る姿を目撃した。

 

 

きのう、参議院で改正教育職員免許法が可決、成立したという。

第一次安倍政権の07年に成立した教員免許更新制。たしか首相の諮問機関の教育再生会議の提言によるものだった。教育基本法改「正」なども含めて強引な手法が目立った時期。

 

大学の教職課程の単位を取得することで授与される教員免許。

これを10年ごとの更新制にした。

新たに免許を取得しようとする人たちに対し、新システムを適用するというのならまだわかる。

ろくな検証もせずに実施した悪法だった。何かというと「教員の資質不足」を言上げする与党の政治家の拙速さがつくり出した法律。いずれ弊害が露わになる、行政の首を絞めることになるといわれた。

 

数万円かかる更新料と30時間以上の講習。

内容はと言えば、専門講習が18時間、必修として「教育の最新事情」が12時間。

もちろん勤務時間外に30コマを受講しなければならない。

どこの大学でも設定されているわけではないから、夏に遠くの大学にまで足を延ばして受講する人もいたようだ。

受講した人から「役に立った」という言葉を聞いたことがない。現場を知らない大学教員が講義をする中で「ぜひ現場のことを教えてください」と言われてのけぞったという話も。

もう一つ。何事にも抜け道が用意されている。

講習を免除される人たちがいたことだ。

管理職、主幹教諭、それに優秀教員で表彰された人たちなどだ。いわばゴールド免許。ヒラメ化が促進されたのかもしれない。

 

アンタは講習の要ありの人、こっちのアンタは講習の要なしと並べて見ると、どう見ても逆だろうと突っ込みを入れたくなるケースが現場には多々あった。ゴールド免許がペーパードライバーに多いことに似ているかもしれない。

 

1954年以降の生まれの人たちが更新の対象となったので、私は1年差で更新を免れた(よかったよかったなんて思っていたら、5年後、私たちの年から退職金が300万円減額された。1954年以降生まれの人たちは踏んだり蹴ったりだった)。だから更新制のひどさを身をもって知っているわけではない。

年回りによっては2度の更新を余儀なくされた人もいるはずだ。

 

とにかく評判の悪かった更新制だが、民主党政権が成立したときには「いくら何でも更新制は廃止されるだろう」と誰もが考えた。

民主党を支えているのが連合であり、連合の主軸組合の一つが日教組だからだ。

 

しかし、更新制はびくともしなかった。

 

日教組傘下の組合に加入している人たちはがっかりした。民主党政権の夕暮れ時に組合を脱退した人もいた。

 

東日本大震災が起きたことで、公務員の定年延長が先延ばしになった。しかし年金支給時期の順次繰り下げにより再任用で65歳まで働く人が多くなった。大学を出てから43年間働くのが普通になった。

 

今の学校は、定数通りに教員を配置できず(あえてしない自治体も多いと思うが)、空いたところには非正規の非常勤講師や臨時的任用職員を配置するということがごく当たり前に行われてきたが、この10年、この非正規教員のなり手がおらず、教育委員会も管理職も困り果てている。

 

小学校の採用倍率は2倍を切るところが続出している。

教員はブラックらしい、モンスターペアレンツからの過酷な要求、長時間の部活動、いじめや不登校などへの対応の難しさなどから正規教員が確保できないだけでなく、その補充の非正規教員もなり手がいないのだ。

 

以前は60歳で定年となった人たちが、この非正規教員の枠を一定に埋めていた。

しかし今、65歳まで働いた人たちが免許の更新をあえてしない。

 

文科省は、免許更新をしなかった人には臨時的な免許を交付するというやり方を各地教委に指示した。クルマで云えば、切れた免許でも大丈夫、臨時で免許をあげますからという理不尽。

 

今度の改正教員職員免許法は、そうしたでたらめさ、法としての立て付けの悪さを反省する態度はまったく感じられない。それどころか、新たな研修制度を2023年4月から開始するというのだ。

そのためこの夏にも教員に必要な知識や指導方法を定めた指針を示すという。これに基づき地教委がテーマや受講頻度を決める。

一番気になるのは受講したことを記録することを義務付けていること。さらに校長はその記録に基づき、各教員の能力や経験を踏まえて受講すべき研修を助言するのだという。

 

どうしてこうも実現不可能なことをやろうとするのか。

どこにそんな時間的余裕があるというのだろうか。

改正給特法が示した「時間外在校等時間」の月45時間年360時間が守れない現場実態があるのに。

まともな校長なら、時間外在校等時間を守るのが先か、研修の助言が先か悩むだろう。

 

相変わらずの机上の空論をもとにしての法制化。

 

またまた現場のやる気をそぐだけの政策。このままだと現場には草も木も生えなくなる。