石毛拓郎さんの個人編集雑誌『飛脚』第31号(2022年1月7日発行)のあとがきに、日本消費者連盟が発行する月刊誌『消費者リポート』9月号の編集後記「わせだより」が全文引用されている。
巷ではすでに話題になったことなのかもしれないが、私自身知らないかったことなので、私も孫引きで全文を引用する。執筆は天笠啓祐氏。
《表現に自由への圧力を、これほど感じたことはかつてありません。新型コロナワクチンに関してです。とくに驚いたのが、60万回見られた私のユーチューブの講演が消されたことです。いつも日本消費者連盟などの市民運動を広く伝えるために、ユーチューブを通して、配信してくださっているAさんのところに、ユーチューブから、「新型コロナワクチンについて批判する内容」で問題のあるものを削除したという連絡が入りました。加えて、今後このような映像を流すと、二度とユーチューブに掲載させない、という警告がなされたのです。驚いたAさんはワクチン批判の映像をすべて消去しました。このユーチューブの削除と警告は、決してAさんだけを対象に行われたのではありません。/今グーグルやユーチューブに代表される巨大ネット企業によって、表現が支配されています。こんなに簡単に表現弾圧ができてしまうだと実感しました。それにしても、マスメディアも批判能力を完全に失っています。批判が許されない社会ほど恐ろしい社会はありません。それを実感しているこの頃です。》(天野啓祐)
調べてみると2021年9月30日に、youtube社がワクチンの偽情報を含む動画を13万件削除したという記事があった。さらに新型コロナワクチンだけでなくすべてのワクチンに対する偽情報を削除する方針だという。
youtube社は、
「コロナのワクチンについての誤った主張が、ワクチン全体の誤情報に波及しているのを、我々は目にしている。我々がコロナのワクチンについて始めた取り組みを、ワクチン全体に拡大すべき時だ」(朝日新聞デジタル)
アメリカではワクチン接種を拒否している人々が8000万人いるといわれている。
これをyoutube社は、誤情報が出回っているせいだとして、ワクチン接種を拡大するために削除をするのだという。youtube社にとってワクチン接種拡大はどんな意味があるのだろうか。
明らかな誤情報は別として、ワクチンを接種するかしないかという議論はそれぞれの立場から展開されている理屈に依っている。自由な議論が保証されるのは王禅のことD。だ。
ワクチンに反対=謀略論=誤情報というきめつけを一巨大ネット企業が実力行使で排除するというのはあってはならないことだ。
それをyoutubeは全世界でやり続けているということだ。
不思議なのは、このことに関してネット検索でも出てくる記事は9月30日近辺のものがほとんどで、それ以降のものは見当たらない。これは日本のマスメディアがほとんど報じていないためなのか、それともyoutubeが報道を削除したためなのか。
たぶん前者だろう。
いつのまにか情報が統制されている。国家にではなく、巨大企業に。gafaと呼ばれる巨大企業がもつ影響力は単一国家のそれなど及ばないほどの力をもっている。「それはフェイクだ」ときめつけられたら、これに反論する手立てなどない。審議も裁判もない中で実力で削除されてしまうのだから。
由々しきことである。いまでも「誤」情報の捜索と削除は続いているのだろう。
タダでさまざまな動画が楽しめるyoutube。最近は有料に移行しませんかという誘いが流れている。多くの人はみなタダで見ているはず。知らないうちにyoutube社が情報統制をしているとしたら、タダほど怖いものはないのかもしれない。