桜の木の枝に留まるカワセミと金色のサギ。そして『MINAMATA』思い切った脚色だが、魅力的な映画。

早く目が覚めてしまった。3時過ぎ。

外の気温は7.2℃。

Mさんも4時半ごろ起き出してくる。

いつもより早い5時前の朝食。感心な早起き夫婦である(笑)。

6時過ぎになっても外は暗い。暁闇というのか。

予報は快晴。窓を開けると青みのかかった空。

防寒具をしっかりつけて散歩に出かける。気温は5.5℃まで下がっている。冷え込んではいるが、風のない気持ちのいい朝。

いつしか挨拶するようになったカメラを持った年配の男性が、通りがかりの女性と話をしている。

こちらに気がついて「ほら、あそこ!」と指さす先にカワセミ

話しかけられたのは初めて。立ち話になり、写真を見せてもらう。

桜の枝にとまったカワセミの写真。今までずいぶんカワセミを見てきたが、桜の枝にとまっているところを見るのは初めて。

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「あげましょうか」。

一気に距離が縮まり、互いに自己紹介。滝田さんとおっしゃる。

「田つながりですね」と。

桜の枝にとまるカワセミの写真を2枚いただいた。

そしてもう1枚。サギの群れを撮った一枚。

「朝日が当たってね、ほら、この1羽、金色に見えるでしょ?」

「ほんとですね。きれい!」とMさん。

青空にうっすらと白い雲。サギの羽は金色と黒に。下から数えて4羽目だけ1羽だけ全身金色だ。

この1枚もいただく。

帰途、この光景、どっかで…と考える。

見つけた。自分の文章だけど。今年1月17日のブログ。

 

・・・4,5日前の早朝、北の方角から飛来して西に旋回するサギの羽の裏に、明け切ったばかりの陽光があたった。紺碧の空に一瞬の黄金の輝き。

 

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ほぼ1年前、同じ光景を見た。

冬の太陽の角度が見せてくれるのだろうか。

 

いい朝だった。

 

映画備忘録。

『MINAMATA』(2020年製作/115分/G/アメリカ/原題:Minamata/監督:アンドリュー・レビタス/出演:ジョニー・デップ 美波 国村準 真田広之/日本公開2021年9月23日)

 

ジョニー・デップが製作・主演を務め、水俣病の存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミスアイリーン・美緒子・スミスの写真集「MINAMATA」を題材に描いた伝記ドラマ。1971年、ニューヨーク。かつてアメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは、現在は酒に溺れる日々を送っていた。そんなある日、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市チッソ工場が海に流す有害物質によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと頼まれる。そこで彼が見たのは、水銀に冒され歩くことも話すこともできない子どもたちの姿や、激化する抗議運動、そしてそれを力で押さえ込もうとする工場側という信じられない光景だった。衝撃を受けながらも冷静にカメラを向け続けるユージンだったが、やがて自らも危険にさらされてしまう。追い詰められた彼は水俣病と共に生きる人々に、あることを提案。ユージンが撮影した写真は、彼自身の人生と世界を変えることになる。「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイが共演し、日本からは真田広之國村隼、美波らが参加。坂本龍一が音楽を手がけた。

                       (映画ドットコム)

アメリカ人がつくった日本の映画。

熊本県というキャプションが入るが、ロケが行われたのがはたして日本なのかどうかも定かではない。農民が外で雀卓を囲んでいるという光景や、なによりチッソの様子も有害物質の垂れ流しもリアリティがなく、随所に首をかしげるところはあるが、しかしそんなことはあまり気にならない。映画自体が魅力的な仕上がり。

水俣病、あるいは水俣の闘いが撮られてはいるが、これは稀代の写真家の物語。史実も経過もおおざっぱで不正確だなと思いながら、ユージン・スミスの身辺だけはリアリティの塊のように見えるし、逆にリアリティを排してまで写真家の目を前面に出しているシーンが魅力的だ。特に撮影と現像のシーン。

何だこれ?と思いながら、惹きつけられて最後まで見てしまった。

やはりジョニーデップという役者の魅力が大きい。

エンドロールが詳細に世界中の公害の闘いを紹介しているのも好感が持てた。画像1