『返校 言葉の消えた日』最後までホラーテイストについて行けず、映画に入りこめず終わってしまった。

映画備忘録。10月18日。

『返校 言葉が消えた日』(2019年製作/103分/R15+/台湾/原題:返校 Detention/監督:ジョン・スー/出演/ワン・ジン ツオン・ジンファ/日本公開2021年7月30日)

ホラーアドベンチャーゲームの実写化だという。この時点でもうよくわからない。ゲームが映画になる?

f:id:keisuke42001:20211021164327p:plain

 

戦後の台湾の白色テロの時代が背景に。大陸からやってきて本省人を密告と相互監視の下に置く蒋介石・国民党による支配の時代。「犬(日本)去りて豚(国民党)来る」と言われた40年間の恐怖政治。

そうした状況下を描く優れた映画は多い。

悲情城市」「牯嶺街少年殺人事件」といった映画や、東山彰良の描く小説に近いものがあるかと楽しみにしていたのだが、結局ホラー映画だった。

随所に人と人の複雑な絡み、言葉、思想の自由が奪われた状況下での高校生たちと周囲の大人との感情の交差が情感豊かに描かれていてけっしてつまらなくはない。映像はおどろおどろしいけれども、細部が丁寧に描かれていたし、明度の低いシーンが多い中、はっとするような光の美しいシーンもあり、台湾映画の伝統(と私が勝手に思っている独特の美しさ)も感じられたのだが、最後までホラーテイストについて行けず、映画に入りこめず終わってしまった。

画像1