やんばるの宮城秋乃さん不当家宅捜索。小林亜星さん逝去。横浜市ワクチン「広報」配布。お詫び一切なし。

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新聞で、沖縄やんばる在住の昆虫(チョウ類)研究者宮城秋乃さんが不当な家宅捜索されたことを知った。

罪状は威力業務妨害だという。

宮城さんについては、昨年12月の多田謡子反権力人権賞の受賞式で、受賞者である宮城さん自身の制作したビデオで知った。

宮城さんはやんばるでの研究を続けながら、米軍北部訓練場跡地に残る大量の軍事廃棄物の実態とそれらを除去する活動を行っている。

2016年に北部訓練場の半分以上が返還され、沖縄防衛局跡地の軍事廃棄物を除去したが、その対象は道路とヘリパッド跡地に限定され、森の中の廃棄物はそのまま放置された。

除去作業「完了」後、管理は沖縄森林管理署へ。

国の機関から国機関への移管だから実際の「除去」がどのように行われたのか実態は闇の中に。

宮城さんの調査によって、移管2日後には未使用の訓練用砲弾が発見され、ジャングルの中には不発の空砲、空薬莢、ドラム缶、乾電池、野戦用食の空き袋、ブーツ、工事用鉄板などがんみつかった。さらに付近の土壌からは、DDTBHCなどの薬物やPCBが検出されているという。

宮城さんは、離着陸を繰り返したヘリパッド跡地は土地が凸凹で激しく疲弊、米軍は使えなくなった土地を「返還」して、代わりに高江に新たにヘリパッドをつくったに過ぎない。高江が疲弊したらまた同じことをするのか?批判している。

 

環境省は返還された土地の大部分をやんばる国立公園に編入、未だ軍事廃棄物が残されたままの状態にあることを宮城さんは具体的に指摘、廃棄物を米軍北部訓練場のメインゲート前に並べ抗議をしてきたが、今回の逮捕はこれが威力業務妨害にあたるという。

宮城さんは朝日新聞の取材に対し、

「返還地で火薬入りの弾薬を見つけて県警に通報した際には、職務であるはずなのに回収しなかった。一方、廃棄物に抗議活動する市民に対して家宅捜索まですることに矛盾を感じる」とコメントを寄せている。

 

他人の家に入って汚して片付けもしないで出ていき、これ忘れものだよとごみを渡されたら、邪魔になると逮捕ということだ。

 

小林亜星さんが亡くなった。88歳。この方の大きな業績について言いたいのではない。

ニュースなどで著名な方が亡くなると、生前の姿が映され、〇〇年には○○褒章を受章、などと放送されるが、小林亜星さんにはそれがなかった。

 

これほど著名で多くの方に愛された音楽をつくり続けてきた方、叙勲の打診がなかったとは考えにくい。

辞退したのだろう。ときどきこういう人がいる。ほっとする。

いい仕事をして国から褒められ勲章をもらう。それを当たり前と思う人もいれば、そうでない人もいる。

 

小林亜星さんがインタビューに答えて、戦後すぐの出来事を語っている。

戦時中、とても厳しかった教練の先生が、学校に来てソーセージを買ってくれと来たらしい。戦時中の容赦なく暴力をふるったその先生は、尾羽打ち枯らした様子で卑屈に商売をする姿に中学1年生の小林少年は、大人の価値観が全く変わってしまったと思ったという。

児童読み物作家の山中恒さんが、少国民だったころの思い出として、終戦直後「どの先生が自決するのか」と興味津々に見ていたが誰も死にはしなかった、ガラッと変わって民主主義者になった教員の姿に幻滅したというエピソードを何度も書いているが、それに近いものが、この小林亜星さんのお話にも感じる。

 

こういう人たちは、そう簡単に国とか大人を信用はしないということだ。

勲章をもらったことは本人以外はすぐに忘れてしまうけれど、彼がつくった歌はふっと口を突いて出てくる。作曲家にとってこれほどの勲章はないだろう。

 

16日、横浜市の「広報」が新聞の折り込みに。

ワクチン接種、何の遺漏もなく予定通り着実に進んでいるといった論調。

 

医療機関による個別接種が本格的に始まります。これにより、7月末までに希望する高齢者すべての方に接種していただける見通しとなっています。」

 

よく言うわ、である。

「不手際でネットも電話がつながらない状況が続き大変ご迷惑をおかけしました。未だに予約が取れない方が多数いらっしゃることは大変申し訳ありません。」

 

とは書いていない。通じない電話の前で打ちひしがれた高齢者に対してひとこと「申し訳ありません」というお詫びがあってもいいと思う。

 

67歳の一人暮らしの友人は、集団接種も個別接種も取れず、仕方なく東京の大手町の自衛隊の大規模接種を予約、当日ちゃんと現地に着けるかどうか不安だというので、下見に行ったとか。偶然、そこで「空き」がありことをつたえられ、接種できたという僥倖を語ってくれた。

 

 

数字を並べればいいというものではない。数字で幻惑するつもりはないのだろうけれど。

たとえば〈6月10日現在の情報〉として提示している予約状況。

横浜市の高齢者接種計画は146.3万回だという。接種人数はこの半分731500人が計画接種人数。横浜居の高齢者は90万人超。歩留まり率を8割ぐらいに見ているということだ。18万人は他自治体や大規模接種に足を運ぶ人もいる。何らかの理由で接種しない、できない、希望しない人がいると考えている。この数字、この計画、妥当か?

 

これに対し現在の全予約数は、123.1万回。計画数の84%が予約できているという。

「計画数の84%となっています」はわざわざ太字だ。

 84%と言えば、「お、かなり進んでいるな」と印象を与える。

しかしよくよく計算してみると、

1463000回ー1231000回=232000÷2 ⇒116000人

つまり116000人の高齢者の人たちがまだ予約が済んでいないということだ。

84%は予約済、というといかにも進んでいるかに見えるが、10万人以上の高齢者が予約できていないというのは、これは大変なことではないのか。

 

最初の躓きは5月3日の集団接種の予約受け付け。75000人分に対して2588人しか受け付けられなかった。45分で受け付けは中止になった日のことだ。

5月6日も苦情の嵐。電話回線を増やして5月10日。65歳以上の接種券発送を遅らせた。

躓きはつづいた。

個別接種は、情報の開示が遅く、不公平感が強まった。

これから予想されるのは、65歳以下の接種が始まると、高齢者の取りこぼしが増えていくことだ。

 

心配だ。