「1日百万回7月完了」政権は「自分たちは努力した。あとは自治体の問題」としたいのだろう。ワクチンだけでなく知恵も出せよ。     『狼をさがして』『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』ともに踏み込みが浅い。

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関西風にいうと酒のあて・庭で採れた新鮮な刺身・・・。



新型コロナのワクチン接種「1日百万回7月完了」が政府の目標。これは、自治体の対応能力を勘案した数字ではない。つまり「机上の計算」。

 

実際に7月末までに完了が可能と国に報告しているのは、1700余の自治体のうち6割弱約1000の自治体に過ぎない。

 では7月末までに6割がワクチンを打ち終える、ということではもちろんない。

 

7月末までに不可能としているところには、人口の多い自治体がたくさん含まれていると考えられるからだ。神奈川県でいえば、清川村の3359人も自治体の一つ、横浜市の3750000人、川崎市の1510000人、相模原市の710000人もそれぞれ1自治体だ。単純計算すれば清川村が7月巣までに終われば25%完了ということになる。

 

7月末までにワクチンは確保できても予定の2割が接種を終えているかどうか。

高齢者は7月末までにどれぐらい接種できるだろうか。65歳以上70歳未満の私たちが接種できるのはいつになるか。

 

政権は「自分たちは努力した。あとは自治体の問題」としたいのだろう。ワクチンだけでなく知恵も出せよ。

 

出てき始めたのは「五輪中止を」の声。錦織圭も「死者が出ているのにオリンピックは考えられない」。

感染が拡大しつつある茨城県の知事は今日、

「今の感染状況であれば、安心安全な開催は可能だと感じている」と述べるも「必ず開催しなければならないということではなく、状況によっては中止や延期という判断もありうる。仮に医療崩壊というような状況の中で開催すれば、世界的にも理解をえられないと思う」とした。

自治体の長として、国に先んじて「五輪中止を」とは言いにくいのだろう。よく読めば「中止やむなし」である。

聖火リレーも中止するとのこと。

 

 

先週の土曜日、8日に「街」に出てみた。誰にも会わず、ほとんど空席の映画館で二本映画を見て帰ってきた。

 

地下鉄伊勢佐木長者町を下りてシネマリンに向かう。国道16号線の横断歩道を渡るとほとんど男だけの40人ほどの行列。「ラーメン二郎横浜関内店」

いつもと変わらぬ光景。つまり、行列の間は密ということだ。

ジロリアンにはコロナは眼中にないのか。

 

1本目『狼をさがして』2020年製作/74分/G/韓国/原題:The East Asia Anti-Japan Armed Front/監督:キム・ミレ)

 

東アジア反日武装戦線を描いたドキュメンタリー。監督は2000年代、大阪・釜ヶ崎の日雇い労働者を取材しているうちに「狼」の存在を知り、取材、映画化したという。

つくり手がどんなバックボーンをもっていようとも、この映画、成功していないと思った。事実を丁寧に調べ証言をとり、服役を終えたメンバーのあとも追ってはいるが、50年の彼らの思想的な変遷と日本という国を引き比べての「暴力」への洞察は浅い。企業爆破とパレスチナはじめ世界の被抑圧人民との連帯をめざしたこの国の最も先鋭な若者たちの生き方をとらえるには、カメラの容量そのものが小さすぎるように感じた。

左右を問わず、多くの日本人が彼らに対して繰り返しぶつけてきた「思いはわかるが手段がよくない」といった言説を超えてはいない。

私の友人K君は「桐山襲松下竜一は出てこないのか」と問うていたが、出てこないし、支援する側の論理もこの映画の中では深まってはいないと思った。

彼らを批判することが、結局のところ現状追認、肯定にとどまり、この国の新しい形を追い求めることにつながらなかった事実。

彼らにあって自分になかったもの、そんなものに思いを至らせず、彼らの中に流れた50年の残酷な時間を情緒的に描いていると言ったら言い過ぎだろうか。

 

当該と支援というより、映画をつくる側と見る私たちの側の問題。

 

私が見た前日、某団体がシネマリンに対し上映中止を要請、私は遭遇しなかったがこの日も劇場付近で街宣活動が行われたという。シネマリンでは上映は引き続き行われている。

県内2館目の上映館あつぎのえいがかんkikiは、横浜同様「道路使用許可申請」が得ているとの警察からの連絡で上映を中止している。

 

2本目。『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』(2020年製作/114分/G/日本/監督:さかはらあつし/出演:荒木浩 さかはらあつし 阪原武司 阪原多嘉子)

 これも今一つ。

地下鉄サリン事件の被害者である映画監督さかはらあつしが、宗教団体Aleph(アレフ)として今なお活動を続けるオウム真理教の広報部長に迫ったドキュメンタリー。1995年3月20日オウム真理教の幹部たちが東京都心を走る地下鉄3路線の5車両に猛毒のサリンを一斉散布した地下鉄サリン事件。当時通勤途中で被害にあい、PTSDと神経への後遺症を抱えるさかはら監督は考え抜いた末、事件やオウム真理教と向き合うことを決意。事件から約20年の時を経て、オウム真理教の後続団体であるAlephの広報部長・荒木浩と対峙する。所縁の地を訪ねる旅の中で、さかはら監督は荒木と対話を繰り返し、友人を諭すように接しながら彼の心の内に迫ろうとする。

                     (映画ドットコムから)

 

とあるのだが・・・・。

 

現在もオウムの系列で活動する荒木浩氏と監督の二人がでずっぱりでサリン事件について話すかと思うと、なんだか集中しない。話が深まらないのだ。最後に監督の両親が出てくるのだが、二人の抱えている重さはどこに向かっているのかがわからない。監督は、ただただ荒木氏に「謝れ」と言っているようにしか見えない。荒木氏自身の葛藤に分け入ろうというところがないのが残念。ドキュメンタリーといえども、出たとこ勝負ではなく事実を積みが得ていく相応のプロットなり構想があるはず。それが見えてこない。

 

 

ということで、土曜日の映画、ちょっと残念だった。

 

伊勢佐木長者町、関内、どちらの最寄り駅にもいかず、野毛を通って桜木町駅へ。

野毛の通りにはぽつぽつと開いている店があり、飲んでいる人たちもいるようだ。

しかし、駅ビルB2Fのぴおシティの段差のきつい階段をゆっくり降りると、いつものざわめきが聞こえない。

ここは今風に言うと(そうでもないか)昼呑み、立呑みのおっちゃんたちの聖地。最近は若者も多い。ここ数年で店数が増えていまや10数軒になるのではないか。せんべろの街立石もかくや?といったところなのに・・・。

店が開いていないわけではない。

呼び込みのお兄さんと話をする。

ビル全体が酒の提供はしていないとのこと。

店の中にはビールのジョッキ片手の人も。

「いや、あれはノンアルです」。

直近の緊急事態宣言以降、マンボウの神奈川でも酒類提供はしませんの店が増えている。

友人のIさんは披露宴の乾杯の発声を頼まれたが、ノンアルしか出ないというので断ったという。

いつのまにか日本に禁酒法が敷かれたのか?

最近、東京では「灯火管制」が始まっているらしい。要請を無視して営業を続けていることが一目瞭然となるらしい。

酒類販売まで抑えようという動きもある。

 

厚労省の役人たちのように時間を無視して大人数で宴会をしようというのではない。

おっちゃんたちの「軽く一杯」まで抑え込めば、コロナに勝てるのか?

 

我慢を強いることよりも、まずはワクチンがスムーズに摂取できるように知恵を働かせてほしいものだ。

 

前回、名前の知らない小さな花の名前を教えてくださいと書いた。

お二人の方から「モモイロヒルザキツキソウです」とのメールをいただいた。すぐに反応していただけるのはうれしいもの。ありがとうございました。