『だまし絵の牙』仕掛けもうまくできていて楽しめるが、全体的に軽い。大泉洋だからそれが持ち味と言われればしかたがないが。

映画備忘録。

4月15日、南町田グランベリーシネマで

『だまし絵の牙』(2021年/113分/日本/監督:吉田大八/原作:塩田武士/出演:大泉洋 松岡茉優 佐藤浩市 宮沢氷魚 池田エライザ/3月26日公開)

 

『罪の声』の塩田武士が大泉洋をあて書きした小説の映画化。あまり舞台にならない出版業界が舞台。

旧態依然とした慣習の中での内部抗争から、業績がどんどん停滞していく会社にあって、思いもかけない発想から新業態を生み出すといった物語。

守旧派とみられる勢力が大御所の作家を文芸誌で社内に囲いこみ、他部署に手をつけさせないのに対して、新勢力が新雑誌でこの大御所を奪い取ってしまう、それがきっか家けなって内部抗争に火が付く。

 

最後はふたつのどんでん返しで大団円となるが、ネタバレをしてしまうと小説も映画も面白みの半分くらいが消えてしまうので、ここまで。

 

一つだけ、日本の出版社がアマゾンと手を組んで生き残りを画策するというのは、ありうるのだろうか。

そもそも映画の中では、出版社がテレビのニュースなどで派手に取り上げられたり、新進作家の新企画発表の記者会見にホテルと思われる広い会場で記者会見なんてありうるのだろうか。

もう一つのどんでん返しも小気味はいいが、トンデモ話で終わってしまうようなもの。

映画『ミセスノイジー』のほうが、出版界のリアルをよく描いていたと思う。

 

仕掛けもうまくできていて楽しめるが、全体的に軽い。大泉洋だからそれが持ち味と言われればしかたがないが。

大泉洋はあまり評判にはならなかったが、『こんな夜更けにバナナかよ』が印象が強い。

本編では松岡茉優木村佳乃がよかった。特に松岡は、大御所作家国村準とのからみで酔っぱらシーンはとくに。

タイトル設定もよくできているが、それ以上ではない。