ちょっと変わったスーパーの話。

昨日、午前中に今年最後の買い物にいつものスーパーへ。

林間モールという広い敷地にカインズホーム、クリアエイトや王将、丸亀製麺、すきや、かごのや、ダイソー眼鏡市場、等々が入っていて、スーパーエイビイはカインズホームと並んで敷地面積が広い。

11時過ぎに着いたのだが、840台収容の駐車場はほぼ満車。

込み具合は5月ごろの「買い出し」まではいかないが、10いくつあるレジは長蛇の列。会計が済むまで20分ほどは待つ。

つまらない話をしながら待っていると、店内のスピーカから、年末年始の営業についてのアナウンスが流れてくる。

 

「明日、明後日はいつもより30分早く営業開始。大晦日は15時に終了。年始は1月6日から営業します」

 

近くの大型スーパーのほとんどは、大晦日まで通常営業か延長営業。1日は休んで2日から通常営業というところが多い。

書き入れ時に、大晦日は早めに切り上げ、年の初めは5日間ぶっ続けで休むという判断をする経営側。なかなかできないこと。働いている側からみるとどうだろうか。

 

ここは現金しか扱わない。カードは使えないし、ポイントカードもクーポンも駐車券ない。

レジは品物を通すだけで、現金は客が直接レジスターに入金する。今はやりの「セミルフレジ」という方式。これなら従業員は現金に全く触らないから、入金やお釣りやレシートを渡す作業が必要がない。他のスーパーでは、クレジットカード、ポイントカード、駐車券、クーポン券などの作業がかなり煩雑。ここは他とはかなり違う経営理念があるようだ。

 

以前書いたが、店内用のかごではなく、客が店外持ち出し用のかごをもっていくと、従業員はレジでそのかごを受け取り、私たちが雑然とほうりこんだ品物を、一つひとつスキャンしながらそっちのかごに丁寧に整理して入れてくれる。野菜、魚、乾物、など、きれいに収納してくれる。

客は、セルフレジでお金を払うと、そのままかごを載せたショッピングカートを車まで運べばよい。

つまりここの会計システムは、客にも従業にもストレスの少ない形がつくられているということだ。

さらに労働時間。

従業員にはパートの人が多いことは察しが付くが、年末の15時終了や年の初めの5日間の休みは助かるのではないか。年末年始、シフトをやりくりするコンビニやスーパーに比べれば、売り上げは大きく落ちるのだろうが、従業員にとっては働きやすい職場なのではないだろうか。

 

チラシを作らない、というのもこのスーパーの特徴。スーパーによってはほぼ毎日チラシを入れるところもあれば、金曜日だけというところ、あるいは定休日前日だけというところもある。一切つくらないというのは珍しい。

 

これは、目玉商品をつくらないということだ。

 

それなのに店内が閑散としていることはまずない。チラシの目玉商品を目当てに来る客より、定期的に買い物に訪れる固定客が多いようだ。毎日のように開店時に行列ができることでもそれはわかる。

 

売る側が売るためのさまざまな工夫をする。それはいつだって従業員の負担が担保となっていることが多い。

縁もゆかりもないお店だが、他とは違う経営理念が感じられるお店であることは間違いない。神奈川県内に12店舗ある。

 

ただ気にかかることはある。レジを担当する従業員は長時間立ちっぱなしで品物をスキャンする。なのにみないちように手袋をしていない。経営側の指示と思われる。

ほとんどが温度管理されている生鮮品。手袋をする自由はあってもいい。客はそんなことは気にならない。

労働組合があればいいのだが。

 

 

今日午後、中島京子『長いお別れ』読了。

完成度の高い小説だ。先日見た、映画『長いお別れ』は、小説のシチュエーションを幾分か借りているだけで、小説のもつ深さには全くたどり着いていない。似て非なるもの。それはそれでいいのだが、原作、といういい方は少し違うと思う。

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今日12月29日は、生母の65回目の命日。私にとっては、とてつもなく短いお別れ、だった。享年33歳。