相撲道とかサムライなんて言わなくても、200キロ前後の男たちが直径4.55㍍の土俵で頭からぶつかり合うという、世界に類を見ない独特のスポーツをさまざまな視点から解き明かすというようなものをやってほしい。

まさかこういう映画、午前中から見に来る人はそうはいないだろうと思って,オンライン予約をしないで若葉町のジャック&ベティまで出かけた。50人近く入っていた。レディスデーであったせいか女性の姿も目立った。何とかいつもの席につけた。

 

『相撲道 サムライを継ぐ者たち』(2020年/104分/日本/監督:坂田栄治/語り:遠藤憲一

 

2018年から半年の間、境川部屋高田川部屋の稽古場の様子を中心に描いたドキュメンタリー。

 

タイトルがよくない。サムライ? はあ?である。

「男たち」としなかったところはエラい。女相撲の系譜もある。

 

日本ではなにかとスポーツに「道」をつけたがる。

「剣道」は全日本剣道連盟が定義した言葉だし、「柔道」は加納治五郎によって明治時代につくられた言葉だ。

 

武士道だって概念のぼやっとしたよくわからない言葉。

近世になって一般化したというから、武士が戦わなくなってつくられた言葉と言えるだろう。実践よりどんどん精神性が強くなる。

 

力士の士は、その武士に由来するという。

 

へえ、知らなかった。相撲は神事にちなむように相撲協会は言っているように思うが、

武士だとするとこれはまた面倒な話になる。

 

「相撲道」という言葉をネットで検索すると、ほとんどがこの映画に関連したことが出てくる。

 

一つ「相撲道」で出てくるのは、元横綱大鵬が書いた「相撲道」という本。

 

剣道や柔道に比べて「相撲道」という言葉はまだ世にまったくなじんでいないということだ。

 

この映画、おもしろかった。それなりに。

相撲道と言いながら、サムライと言いながら、その実、豪栄道や竜電、妙義竜などのインタビューにはそんな堅苦しさがなく、人柄がにじみ出るようなほほえましいものばかりだった。互いに切磋琢磨し、互いに存在を認め合う。厳しいけいこの中で関取になるというのは大変な出世で、年齢的には若くても精神的にも肉体的にも老成するところがあるのだなと思った。

 

ただ不満は、相撲の技術的な面、私たちには計り知れないところを明らかにしようとしているのか、それとも力士たちの普段の生活やしきたりなどのトリビアを描こうとしているのか、それとも神事やサムライなど精神的な面を押し出そうとしているのか、とにかく枠組みがはっきりしないことだ。

 

歴代の名取り組みというわけでもないし、何といっても白鵬鶴竜も全く登場しないのも変。

監督が部屋の全員を焼き肉屋に招いて「すきなだけたべて」と言って、会計の時に80万円を超す金額に驚くというのも、面白くないとは言わないが、なんのために?という疑問が残った。

 

相撲道とかサムライなんて言わなくても、200キロ前後の男たちが直径4.55㍍の土俵で頭からぶつかり合い、そして表面的には全く感情を表に出さないという、世界に類を見ない独特のスポーツをさまざまな視点から解き明かすというようなものをやってほしい。たぶんシリーズものになるだろうけど。

 

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市が尾店

次の日、木曜日。病理検査の結果を聞きにクリニックへ。

4つのポリープ、すべて腺腫(アデノーマ;adenoma)良性のものとのこと。

2年後にまた検査に来てと言われる。

 

帰途はちょうど昼時、国道246号沿いにある壱語屋へ。

去年、胃がんの手術をする前に来て以来。

 

店の雰囲気は昼間でもやや暗めで天井が高くていいのだが、客の話し声が響き過ぎるのが難。それと運んでくる若者があまり愛想がないというか、忙しすぎて余裕がないのが少し残念。肉はうまいのだが。

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