「よく降りますねえ」という挨拶が、世間では頻繁に交わされているのかもしれない。
そのくらい毎日、雨である。
私は、妻のMさん以外の人と話す機会がほとんどないから、だれかに「降りますねえ」と同調を求められない。買い物や散歩以外の外出をほとんどしないから、当然と言えば当然なのだが。
最近、言葉を交わしたのは、かかりつけ医院のドクター、それと受付のⅠさんくらい。
Ⅰさんは3年前に開院して以来の女性スタッフだ。
私もここに通うようになって3年近くなる。
「最近、患者さんは増えました?」と訊くと、微妙な笑みを浮かべながら
「それなりに・・・」とⅠさん。
事前予約制だから、待合室で他の患者さんとはすれちがうだけ。Ⅰさんと診察までのほんの4,5分、3人でおしゃべりをする。
今時、受付の人とおしゃべりをする医院は珍しいかもしれない。
診察時間も他の医院とは異なる。
火~木は10時30分~13時30分 14時30分~16時30分
土曜日は、10時30分~14時30分
月金日の3日間はお休み。
週の診察時間は、計19時間。
診療科目は、内科、循環器内科、糖尿病内科。
診察は予約制。ひとり15分が確保されている。
私たちは二人一緒に診察室に入るから、たいてい30分を優に超えてしまう。
こうした数字に、ドクターの医院経営のコンセプトが表れている。
以前、通っていたかかりつけ医は、診察時間開始前に空いている待合室に入っても、早朝から診察券を出しに来る人がいたから、診察まで1時間以上待った。
呼ばれて診察室に入り、出てくるまで、3分。
院内処方だったので、薬をもらうのと会計で30分は待つ。
徒労感にさいなまれる通院だった。
開院直後、おしゃべりをしているうちにⅠさんが、兄妹で私の最初の赴任校の卒業生だということがわかった。
どうも、お兄ちゃんは私の授業を受けていたらしい。お兄ちゃんと云っても50歳を超えているが。
そんなこともあって少し気心が知れたような気分になって、Ⅰさんとよくおしゃべりをする。
高3の息子さんのこと、お連れ合いの在宅勤務のことなど。
通院は木曜だったから、この2,3日、Mさん以外の人と口をきいたのは、ドクターとⅠさんのお二人以外にいない。
散歩の途中、遊歩道をカメが歩いていた。
川の中の岩の上で甲羅干しはよく見かけるが、カメが遊歩道を歩いているのを見たのは初めて。
体調30㌢、けっこうな大きさ。
水面から遊歩道までは2,3㍍ある。はてどうしてあがってきたものか。
境川にはすっぽんを生息しているらしい。
すっぽんが歩いていたら、捕まえる?