横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)に関する市民説明会は、戸塚、都筑、栄、青葉、瀬谷、泉の6区が残されていたが、市はこれを動画配信に切り替えるとの発表した(3日)。
12月から行われてきた13区の説明会は、どこも怒号に包まれる不穏な空気の中での開催だった。コロナ禍によってアメリカの資本が進出を断念するなどの状況もあって、この問題下火になるかに見えたが、横浜・林市長は相変わらず誘致に意欲を見せている。
瀬谷区の説明会は、3月9日に予定されていて、事前申し込み制というので、二人で申し込んであった。
渡りに船、というのだろう。これ以上紛糾するさまを、市長は市民に見せないで済むことになる。
8月にはIRの具体的条件を示す「実施方針」や募集要項を公表、事実上の事業者公募始める方針であるとのこと。
市民の反対だけでなく、コロナによる外国人旅行者の激減、さまざまなイベントの中止、変更がなされている中、既定方針通り進むことは考えにくい。
この問題、行政と財界がタッグを組んで、という具合にはなっていない。
昨夏、藤木幸夫・横浜港運協会会長が「命を張って反対をする」「ここで寝泊まりする」と、地元港湾業界として徹底抗戦することを表明したことから、週刊ダイヤモンド誌は、熊本、大分の下筌ダムの闘い、蜂の巣城籠城のような闘いになるかもしれないと報じた。こういう発想で見る記者がいることに驚いた。
下筌ダム闘争の中心は1950年代に資産数億円と言われた室原知幸氏が中心となった壮大な闘い。一般民衆の闘いというより、一般民衆を巻き込んだ地主の闘いという点で、似ているかもしれない。
敬愛する松下竜一氏の『砦に拠る』(1977年)をどきどきして読んだ記憶がある。
youtubeに当時のニュースを見つけた。
昨年10月の朝日新聞の世論調査では、横浜市民の意向は、賛成26%,反対64%,その他10%。圧倒的に反対が賛成を上回っている。下筌ダムは、公共性と対峙したという点で孤立、今日絵師排除を許したが、横浜IRは全く別物。公共性もなければ民意もついてきていない。
残された6区の説明会が動画配信にレベルダウンしたとしても、反対運動が下火になるとは思えない。