昨日の朝、境川遊歩道の帰り道。チーチーという啼き声にふりかえって水面をみると、2週間ぶりのカワセミの滑空。
何羽かがカラスに襲われ、残りのカワセミはどこかに避難してしまったようで、まったく姿を見せなかった。
帰ってきたようだ。
気温が初夏に戻った。
5月17日に、朝日歌壇に載っていた奈良県の山添さん一家の新一年生そうすけ君と高学年の葵さん、そしてお母さんの聖子さんの短歌を紹介した。
このブログを読んでくださっているUさんが、5月3日の山添さんのお母さんの歌がいいとメールで知らせてくださった。
たけのこの地を割るように永久歯四本生えて子の口は春
(奈良県)山添聖子
熱心な読者ではないからよく分からないが、山添さんは朝日歌壇の常連のようだ。
短歌など門外漢だが、なんともイメージ豊かな情景が目に浮かぶような歌。
今日の歌壇にはまたまた聖子さんの歌、そして葵さんの歌も。
お母さんとお義母さん、その発音の重なりし頃義母は逝きけり
(奈良県)山添聖子
五時間目家庭科はうちの台所ママと作ったいちご大福
2首とも二人の選者に選ばれて、☆がついている。
「その発音の重なりし頃」とは?
おなじ「おかあさん」という発音でも、発する方には無意識に区別する思いが込められる。呼ばれる方もそれを感じていたのかもしれない。いつしかそんな区別が消えかかったころ、お義母さんは亡くなった。
味わい深い歌だなあと思う。
葵さんの歌は、コロナで休校中の家での出来事。説明っぽさがなくて、情景が鮮明に浮かんでくる。「五時間目」が効いているのかもしれない。体言止めから情景の明るさと葵さんのうれしさが伝わってくるような。
文科省が9月入学論のシミュレーションをしている。これを朝日新聞が取り上げている。取り上げた次の日には氏岡真弓編集委員が、オクスフォード大の苅谷剛彦さんによる同様のシミュレーション、試算、反論を報じる。
今日はゼロ年生について。
「学童保育の待機児童、教員不足が甚大になる。予算増も軽視できない。3案を試算した結果、どこに、さらに誰に過剰な負担を負わせるかという三すくみの状態が見える。どれをとっても保育や教員の担い手不足という問題の解決は難しい」(刈谷氏)
ほぼ、これで結論は出ているのではないか。呑み屋談議のようなところから出てきた問題。9月入学が今までなぜできなかったか、そして今はさらにできない状況が深まっていることを見据えるべきだと思う。
今日は、教育実習についても氏岡委員の記事が載っている。
(氏岡さんは一度だけお会いしたことがある。あれはたしか98年ごろ。突然電話があり、話を聴かせてほしいということで、職場を訪ねてこられた。高校入試の問題などについて話をしたのを覚えている。朝日の教育ばたをずっと歩いてこられた方)
文科省が今月初めに教育実習の弾力化の通知を出していることは、このブログでも触れた。弾力化とは教育実習の期間を短くするということだ。
記事は、すでに新学期2か月も休校が続いている中、免許取得に必須となる教育実習を予定している大学四年生の不安や心配と、受け入れ側の学校の受け止め方。さらには短くした分を補填するよう求められている大学側の事情についても触れている。
私は5月5日に次のように書いた。
「まだ開校すらはっきりしていない時期に、教育実習もないだろうと思う。
たとえ開校したとしても、通常の学校の動きとなるにはかなり時間がかかるはず。
その中では教育実習は現場にとってかなりの負担になる。
今年に限っては教育実習未実施のままでの免許付与でいいのではないか。
実際、教育実習をしたかどうかで何が変わるというものでもない。
私自身も何度も担当しているが、教育実習の単位を認めないということは現場ではありえない。単位を認定するにはかなり難がある場合でも、単位は認めるのが通例。
ということは、教育実習が教員免許の必須というわけではないということになる。
こういう事態の中で、教員になろうとする学生の意欲を大事にし、そして現場のスムースな運営を考えるならば、今年は教育実習はやらない、でいいのではないか。」
教育実習は小中高での授業を中心とするものだけではない。介護等体験も必須である。これは1998年の「介護等体験特例法」によるもの。小中免許に必要な体験だが、たいてい中高はあわせて免許取得するから、小中高の免許を取得しようとする人は必ずやらねばならないようだ。ようだ、というのは、実際どのようなことをしているのかを知らないからだ。私の頃は、中学校で2週間、それだけだった。
どういう所でやるのか。
特別支援学校
•知的障害を主とする学校
•肢体不自由を主とする学校
•視覚障害を主とする学校
•聴覚障害を主とする学校 等
社会福祉施設
•高齢者を対象とする施設
(特別養護老人ホーム、デイサービスセンター 等)
•障害のある人を対象とする施設
(知的障害者更生施設、身体障害者更生訓練センター 等)
•乳幼児を対象とする施設(乳児院 等)
•子どもを対象とする施設(児童養護施設 等)
特別支援学校で2日間、社会福祉施設で5日間の7日間を原則2年次で行うようである。
特別支援学校は原則休校となっていても、実際には生徒受け入れているところもある。
社会福祉施設の方は、それこそコロナ対策に疲弊しているのが現実。現4年生はすでにこの実習を終えているが、2年生は少なくとも今年は不可能だろう。もし来年できたとしても、現1年生も同時に体験をすることになる。このあたりも、なんらかの特別な措置が必要と思われる。
繰り返すが、これから開校する小中高は、通常の学校の時間の流れが戻るのにはかなりの時間が要すると思われる。それどころか、予期しないさまざまな出来事が起こる可能性も高い。
こうした中で、教育実習、ほんとうにするの?である。
「(弾力化は)実習校の負担軽減としての意味は大きいが、大学が代替授業を構築するのにかかるコストは、講師の確保を含めて膨らむ。学生にとって、受け入れ先が見つからないという問題も依然として残り、本年度は実習を教職免許の要件から外すなどの踏みこんだ措置が必要ではないか」(お茶の水大学・大多和直樹・基幹研究員準教授(教育社会学)
まっとうな意見だと思う。
5月15日に文科省が、5月19日は横浜市も「学校再開指針」を出している。
さまざまなケースに対応できるようかなり詳細なものなのだが、気になることがある。
登下校、休み時間、放課後、である。
教員の目や手が届かない、あるいは届きにくい時間帯。
そういう時間帯ほど、子どもたちは生きいきと動き回る。
気持ちの上で不安定になっている子どもたちも少ないはずだ。こころもからだも距離を詰めることで安心がつくりだされる。
ところが、コロナ対策は「離れろ」という指導になる。
教員との距離が、ある程度あった方がいい子どももいる。逆に縮めたほうがいい子どももちろんいる。
一か所に集めて同じよう動きをさせることが少なくない。
それが原則的にできなくなるばかりか、個別の対応も難しくなる。
「元に戻る」ことは難しいのかもしれない。