世の中はこんなふうに、不公平にそしてきわめていびつにできているものだ。 これに対しては、やはり選挙か? いやもう「仕事人」しかいないのではないか(笑)。

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ネットから拝借しました


いくつか処分撤回闘争というものにかかわった。

条件付き採用(初任)なのに、担任も学年主任もやらされ、精神的なストレスから療養休暇をとったことに対し、市教委が校長と結託し「依願退職しないと分限免職にするぞ」という脅しをかけたことがあった。まだ、教員志望者が多かった今から15年ほど前の話。

寸前で介入し、正規採用までこぎつけた。

 

女生徒からの訴えをまともに受けとめ、不適切な指導と決めつけ、減給処分となった教員が駆け込んできたことがあった。あきらかに偏った決定であるとして、減給処分を戒告に「減額」させたこともあった。2年程前の話。

 

前者はその後、校長と市教委に対し損害賠償請求訴訟を起こし、4年かかって勝訴。14万円の賠償金を市教委は払った。

 

後者は、人事委員会に不服申し立てをし、3年かかって本人の名誉を回復、市教委は公的な場で本人に謝罪をした。

 

いったん出された行政処分をひっくり返すのは簡単ではない。一般的に99%の敗訴率ともいわれる。

 

処分を撤回させるための闘いには、弁護士費用などお金も必要だし、何より本人のくじけない強い意思とそれを支える支援が必要だ。

 

公務員が、行政の偏頗で理屈の通らない処分に対し闘うのは、だから並大抵のことでできることではない。

 

今朝の新聞には、横浜の事務職員の淫行条例違反と小学校の教員のセクハラと万引き、中学教員の暴言による処分が出ている。事務職員は実名が報道され、懲戒免職である。

 

処分に不服があれば、人事委員会に提訴できる。

 

どれだけ偏った処分であれ、これはアウトでしょという処分であれ、処分というものに対して、法的に争う権利が公務員にはある。あたりまえのことである。

 

処分というのはそういうものである。

 

で、検察のナンバー2、黒川検事長は処分されたか?

いや「訓告」。

公務員の懲戒処分は、免職、停職、減給、戒告の4段階。それぞれ「○か月」とかの軽重はつくが。

 

この中に訓告はない。

訓告は行政処分ではなく、いわば注意のようなもの。これには軽重などつくはずもなく、せいぜいが文書訓告と口頭訓告があるだけである。

 

これに対しては、不服申し立てもできない。何度も言うけれど訓告は処分ではないからである。

処分ならば、たとえ一番軽い「戒告」でも給与に影響がでる。減給や停職なら給与や退職にも大きな影響がある。懲戒免職なら多くの場合退職金は出ないし、教員資格もはく奪される。

 

訓告は、なにもない。森法務大臣が口頭か文書で「これからは気をつけてね」で終わり。

 

自治体には「懲戒処分の指針」がある。飲酒運転ならば停職であるとか、セクハラは減給だというやつである。もちろん賭博についても通常、ある。

国家公務員にも「懲戒処分の指針」というものがある。

 

(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

 

これに従って、懲戒免職となった自衛官がいた。

 

いくら甘くても、黒川は減給又は戒告の懲戒処分の対象である。

 

そのうえ、黒川はタダの国家公務員ではない。特別国家公務員の身分だ。法曹三者のひとつのナンバー2だ。

 

どう考えても訓告はない。

 

黒川は検事総長にはなれなかったけれど、推定7000~7500万円の退職金をもらい、弁護士を業するだろう。すると、大企業のいくつかは彼に顧問弁護士を依頼することになるだろうし、事務所を開けば、大樹に寄ってくる弁護士はいくらでもいるだろう。

 

世の中はこんなふうに、不公平にそしてきわめていびつにできているものだ。

 

これに対しては、やはり選挙か?

いやもう「仕事人」しかいないのではないか(笑)。

 

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ネットから拝借しました

 

おかしいな、と思うことがある。

 

安倍首相は、黒川検事長の定年延長に際して

「余人をもって代えがたい人材」

と言っていた。

ところが、法案に暗雲が垂れ込め始めた数日前、櫻井よしこのテレビ番組で安倍は、黒川など話したこともあったこともない、と言っていたのだ。

 

あれあれ?と思っているうちに、文春砲が炸裂。黒川は失脚することに。

 

黒川の趣味はマージャンとカジノということは、知れ渡った事実とのこと。

狙えば狙える獲物なのに、だれも手を出さなかったのは、マスコミと検察のべったりの関係を皆知っていて容認もしていたからだ。賭けマージャンなど問題にもならなかった。

 

安倍が「余人をもって代えがたし」から「黒川なんて知らない」に転換したとたんの急展開。

 

いったい、裏ではどんな暗闘が繰り広げられていたのか。

 

これで評判が悪かった法案は、衣替えを余儀なくされる。政権にとっては、すっきり、だ。

 

が一方に政権とは別に、国民の声をバックに法案反対を主張した検察OBの大勢力がある。世論にうまく乗っかって出てきた勢力だ。

 

結局、政治家によけいな口出しはさせない、検察のことは検察でという、連綿と続く検察の牙城を守る権力闘争のひとつの結末ではあったではないか。

政治家も、ヤバイところに手を付け過ぎたということか。

 

わからない。わからないが・・・・。