横浜市の保育園の問題。
「陽性の保育士はすでに出勤しておらず、ただちに休園しなくても園内の感染リスクは高まらないと判断」
「濃厚接触者を特定したうえで、閉じる範囲をクラス単位とするか園全体とするかなどを決める必要があった。行政としての判断は間違っていなかった」として
対応は「情報操作や隠ぺいにはあたらない」と情報隠しの意図を否定した。
一方、林文子市長は、
「保育所が閉めたいと言ったら閉めるべきだった」と対応の誤りを認めている。
こうした一連の動きに対して西寺尾保育園は正確な事実経過を発表している。
法人より重要なお知らせ
令和2年4月15日
社会福祉法人聖徳会
記
社会福祉法人聖徳会が運営する西寺尾保育園において、2020年4月8日に、同園で勤務する保育士(0歳児の担任)が新型コロナウイルス感染症に感染し、PCR法検査による結果陽性と判断され、その後休園となっております。休園に至るまでの横浜市との協議等について、報道機関による報道も行われているところですので、正確な事実経過をお知らせ致します。
3月30日
有休にて休み。朝37.2℃(平熱36.4℃)
16時37.7℃ 20時平熱に戻る
3月31日~4月2日まで
平熱・体調の変化なしの状態で出勤する
4月3日
味覚・臭覚に異常を感じる
おやつ時間あたりから倦怠感がでる
4月4日
夕方から味覚・臭覚がないこと自覚する
4月5日
コールセンターに連絡するも、重篤な症状優先であり、検査の対象にはならないといわれる。その後順を追って報告があり、園長に15:30頃連絡がくる
新型コロナウイルス感染症に罹患した疑い。自宅待機とする。
この段階で、西寺尾保育園長より、神奈川区へ連絡し、状況を報告、共有する。
4月8日夜〜深夜
当該保育士がPCR検査を受け、8日19:30頃陽性反応が出た旨の報告を受ける
西寺尾保育園長は横浜市へ状況を報告する。
おきはましのhあんd
西寺尾保育園長は、園児の生命・健康を最優先し、保護者への情報開示を求めるが横浜市の対応は変わらず。
4月9日早朝
聖徳会において、園児の生命・健康を最優先し、保護者への情報開示を決定
西寺尾保育園保護者に対し一斉メールにて情報開示する。
西寺尾保育園は休園せず、登園については保護者の判断に委ねる。
4月9日夕方
16:30頃保健所の担当者が西寺尾保育園を訪問し、調査が実施される。
4月9日夜
区役所より翌日からの休園が決定された旨が伝えられる
今回の一連の経過を踏まえ、当法人は、横浜市に対し、改めて、横浜市の保育制度において子どもの生命・健康を最優先するよう求めています。また、今後、同様の事象が生じた場合には、保育園が保護者らに対して速やかに情報開示すること、施設長、設置者等の判断で臨時休園等の措置を行うこと、を認めるよう求めています。
当法人は、今後も、子ども達の「いのち」と健康を最優先し、より良い保育を行えるよう邁進していきますのでどうぞ引き続きよろしくお願い致します。
保育士は30日に発熱、その後平熱となり、出勤。3日から異常を感じ、5日コールセンターに電話するも「重篤な症状優先であり、検査の対象にはならない」とされている。
これが現在の検査をめぐる問題。体調が可笑しくてもすぐに検査してもらえない。
そのこと自体が感染リスクを高めてしまうことになっても、だ。
平熱に戻ったとはいえ、発熱があったこと、味覚、嗅覚がの異常を感じ、倦怠感があったことからすれば、PCR検査の対象となるだろうとは、素人でも考えること。
しかしこれは保健所、厚労省の判断。一つ間違えば保育園にクラスターが発生する元となったかもしれない。人災、ということだ。
これが5日の段階。園長は神奈川区へ連絡、情報の共有をするとともに、保育士を自宅待機に。当然の措置。
次に8日になってようやくPCR検査が実施される。この判断について、だれがどこで行ったかは不明。
「翌日も通常どおり開園すること、混乱を避けるため保護者にも情報公開しないこと」
その根拠が、繰り返しになるが、
・陽性の保育士はすでに出勤しておらず、ただちに休園しなくても園内の感染リスクは高まらない
・濃厚接触者を特定したうえで、閉じる範囲をクラス単位とするか園全体とするかなどを決める必要があった
としている。
しかし、これも素人判断だが新型コロナウイルスの潜伏期間が2週間と云われているのだから、3月30日の発熱を発症と捉えるならば、その後の3月31日から4月2日まで出勤して業務についていることを考えると、この時点で感染リスクがあるものと判断すべきではないか。
「休園しなくても園内の感染リスクは高まらない」のではなく、すでに感染リスクがあるのだから「ただちに休園措置と情報公開を行い、注意喚起すべき」だったのではないか。
結果として保健所は休園を決定しているわけで、横浜市の「休園差し止め」は意味をなさなかったことになる。
なぜ横浜市の担当者は、流暢とも思える「休園差し止め」の判断をし、そしてそれを「情報操作や隠ぺいではない」と主張するのか。
その原因は明らかである。横浜市の担当者の判断のもとには、神奈川県知事が緊急事態宣言を受けて出した通知に「保育制限の措置」がなかったこと、それをベースに発出した保護者向けに4月8日に
市内の保育所等は原則開園とし、保育が必要な方については、引き続き保育所等を利用していただけますのでご安心ください。
一方、新型コロナウイルス感染拡大防止に取り組む必要があることから、ご家庭等での保育が可能な場合には、令和2年4月9日から5月6日までの期間の登園や延長保育の利用を控えていただくなど、ご協力をお願いします。
という通知を出していたことがあったからだ。
「安心ですよ」という通知を出した直後の西寺尾保育園からの連絡に、担当者は一瞬「ウッ」となったのだろう。
保護者からすれば、昼間に「安心です」という通知を見て、その夜に「明日から休園します」という連絡を受けることになる。
担当者は、これはカッコ悪いぞと思ったのではないか。そこでワンクッション置くことを考えた。
保健所が入ってからの判断でいいではないか。
このときに担当者のアタマの中には、感染リスクがすでにあることよりも、当該の保育士が出勤していないのだから、あわてることはない、それより昼間出した通知が夜にはひっくり返るような事態だけは避けたい、そうしないと朝令暮改どころか昼令暮改になってしまう。
つまり担当者は、現場で園児を預かる保育者の立場より、行政のメンツを優先したということだ。保護者の不安にまでアタマをめぐらすことはまったくといっていいほどなかったということだ。
そこに思い至らない担当者は、情報操作や隠ぺいなどするつもりはなかった、横浜市が県に従って決めたことをもとに判断しただけだ、ということになる。
しかし、隠蔽云々と批判されたからつい「いやそうではない」と言い張りたくなる気持ちはわからないでもないが、そのことよりも、そうした判断がもしかしたら感染リスクを高めることにつながる可能性があったことに気がついてほしいものだ。
緊急事態で起きることは、結果からしか判断はできない。どう筋が通っていようと、現場的には間違った判断をした、ということを認めればいいだけの話だ。
今回、現場の園長が担当者の判断に従わず、独自に保護者にメールを流したことは大いに評価しなけれならない。
役所と保育園が原則、上意下達の関係ではないとはいえ、保育園を所管する役所の意向に背くことはむずかしい。ある意味、抗命権の行使ともいえる行為。子どもたちのためにといえばそうだが、そう判断しない現場の長を私はたくさん見てきた。
林市長は対応は誤りだったとしているが、担当者の強弁は続いている。これを横浜市はどう総括するのか。結果責任を負うべき立場として、感染リスクを高める判断をしてしまったことに対し、明確に認めて謝罪すべきではないのだろうか。
わたしの孫も、横浜市の保育園に通っている。
親の判断で登園を見合わせているが、それはある程度そう判断できる条件があるからである。
共働きで子どもを預けるところもない親にとって、横浜市の8日付の保護者への連絡は、判断をどうしていいか迷わせるものでしかなかった。
保育園は安心?家庭で保育可能なら休ませる?
この通知は保護者の不安をあおるものでしかない。
うちは、家庭での保育は難しいから登園させますと判断しても、今回のような横浜市の判断となれば、取り返しのつかないことにもなりかねない。
どうすればいいのか。「県の緊急事態宣言に保育制限はない」を鵜呑みにせずに、横浜市はフツーに自分のアタマを使って考えろということだ。
あとは昨日の繰り返しになるからやめるが、園児の親たちは薄氷を踏む思いで子どもを保育園に通わせている。
保育園は休園とすべきである。