『岩波ブックレットNO. 1020 迷走する教員の働き方改革 変形労働時間制を考える』 36協定を教員に適用するならば、学校は変わらざるを得ない。

毎年、二人の間で話題になり、なんとなく終わっていく「辛夷(こぶし)」と「木蓮」の違い。今年も散歩しながらまた同じ話題に。

タイミングよく清瀬のMさんが、LINEで違いを説明してくれる。

花弁が6枚なのが辛夷、9枚なのが木蓮

 

今朝の散歩、他家の庭に咲いている白い花、花弁を数えてみる。

こんなに分かりやすい違い、どうして今まで気がつかなったのか。

 

木蓮の方が辛夷より花が大きい?くらいに考えていたのだが。

 

 

岩波ブックレットNO. 1020 迷走する教員の働き方改革 変形労働時間制を考える』が届く。

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内田良さん、廣田照幸さん、高橋哲さん、島崎量さん、斉藤ひでみさんの5人の方が書いている。

島崎さんが神奈川総合法律事務所所属の弁護士であることを初めて知る。この事務所には2013年から2018年まで5年間、野村・北村両弁護士にお世話になって処分問題を闘った。

打ち合わせで何度も事務所を借用した。

 

内田さん、廣田さんとはどちらもたった一度だけの面識がある。斉藤ひでみさんは仮名で、本名が西村祐二さんであることをこの本の中でも明かしている。

 

高橋哲さんは、給特法に関わってお名前を目にすることが多い。

今回も給特法と36協定についてとっても面白い論文を書かれている。埼玉の超過勤務裁判の理論的な面を支えている人のようだ。

 

昨年の変形労働時間制導入をめぐる国会の論議の中で、所管の文部科学省ではなく厚生労働省の坂口労働基準局長が宮本徹委員の「教員には36協定は適用除外になっているか」という質問に答えて、

 

「同条につきましては、地方公務員法においては適用除外とはされていないものと私ども承知をしております」

 

という答弁をした。

教員に36協定は適用されないと長年思い込んできたので、この答弁には腰を抜かすほどビックリした。

 

それで、その2週間ほどあとの全学労組の文科省交渉の席で、文科省の村尾審議官にこの件をぶつけてみたのだが、「承知していない」ということだった。さらに終わった後の立ち話で地公法55条の協定についてはどうかと問うたところ、「それはもちろん結んでもらってけっこうです」ということだった。

 

55条の協定すら横浜では82年以来、一枚もつくられていない。

 

文科省より労働基準局長の発言が重いに決まっているので、これは政府の公式見解。

 

高橋哲さんはこの発言だけでなく、幾つもの根拠をあげて教員の「限定4項目」(教員に対して超過勤務を命じてよい範囲を示したもの」以外の超過勤務(文科省はこれを超過勤務とは決して言わず、「在校等時間」と云っている)に対しては36協定を結ばなければならない、それが給特法問題を解決する出口だと主張している。

 

もし教員に労基法36条が適用されるとすると、学校がひっくり返るような事態になる。

なにしろ、中学の教員の6割が月80時間以上の過労死ラインを超えた超過勤務をしているのだから。

 

 

そのうえ、これらの超過勤務にはお金は一切出ていない。4%というわずかな額以外は、すべてタダ働き、つまり定額働かせ放題、というのが実態。

 

もし36協定が結ばれるとしたら、それに対する手当の請求権も発生することになる。

 

中教審の部会長が、もし普通に教員に超勤手当を支給すれば年間9000億円かかるとしていたが、大変なことになる。

 

高橋論文は給特法の矛盾を存分に明らかにしている。

 

要はこういう学者の指摘を、どう戦術として練り上げ実行していけるか、だ。

 

現場を離れて6年になる。でもまだこういう論文を読むとわくわくする。