読み飛ばし読書備忘録⑬ 『僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみか子・2019年・新潮社)移民としての日本人が生きるイギリス社会

  毎日、真夏日

 

夜、気が向くと散歩をする。9時ごろ。コースは決まっている。徘徊ではない。

30分ほどだが、いろいろな人に会う。会社帰りの人が多い。家族連れも。

この間は中年の女性とおばあさんが、何やら言い合いをしながら歩いているのに出くわした。どうしたのかなと近づくと、すれ違いざま、おばあさんが突然私に声をかけてきた。

 

南町田駅はどちらですか」。

 

 突然の質問にこちらはどう返答していいかわからない。何やら不穏な雰囲気に黙っていると、中年の女性のほうが顔の前で手を振っている。気にしないで行ってください、ということらしい。おばあさんも、答えを求めているふうもない。

 

認知症のようだ。こういううまく交わらない感覚、久しぶりに思い出した。義母と同居した10年。

 

おばあさん、歩き方は見るからに元気そう。何か目的があるかのように、どんどん先に行こうとする。連れの女性が早足で追いかける。

 

わざわざ散歩をする時間でもない。おばあさん、何か思いついて家を出てきたのだろう。

 

しんどいだろうなと思う。何か気の利いた言葉でもかけられたらよかったのだが。

 

南町田という駅、9月30日で、消えた。

10月1日から「南町田グランベリーパーク駅」という長ったらしい名前に変わった。

駅舎は、今まではうってかわって屋根付きドームのようなかたちに。11月半ばに、アウトレットの街グランベリーモールが、グランベリーパークとしてリニューアルオープンする。

 

急行は今まで土休日しか停まらなかったが、毎日停まることに。これで平日、長津田で待たされることがなくなる。準急は、長津田―中央林間ですべて停まることに。

 

どれほどの混雑になるものか。規模は今までの数倍になり、町田市の広大な鶴間公園も含んで再開発されている。

今までも土日は込んでしまって、地元民はクルマでは出かけられなかった。

 

駅に隣接するアウトレットは首都圏にはあまりない。電車で来る人も増える。

地元民はつらい。

 

読み飛ばし読書備忘録⑬

 

『僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみか子・2019年・新潮社)

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著者の本は、『女たちのテロル』(2019)に続いて2冊目。今、本が娘のところに行っている。その前はMさんが読んだ。私が読んだのは7月。細かく触れらないがとにかく面白かった。イギリスで子育てをしている著者の日常を描いたものだが、移民としての親子の感覚が新鮮。日本に住んでいるだけではわからなかったこと、知らなかったことがたくさん書いてあった。が、広がったのは知識だけではない。母親も面白いけれど、息子はかなり面白い。イギリス人のダンナも。

タイトルは肌の色のこと。ブルーというのは…。とにかくおすすめの本。

 

『東京零年』(赤川次郎・2015年・集英社

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古い本を紹介する新聞のコラムを読んで単行本を中古で購入。夥しい数の小説を刊行している著者だが、小説はほとんど読んだことはない。2年程前に勧められて評論を読んだ。メジャーな作家なのに筋の立った日本国家批判が展開されていた。それでつい・・・。

 

500頁に及ぶ長編で一気に読めてしまうが、なんというかエンターテイメント小説の面白さも感じない。権力構造のいびつさを突こうとしているのはわかるが、ためにする筋立てで、登場人物の造形も浅い。

そんなことを云っては失礼だが、松本清張の晩年もこんな印象を受けた。出せば売れる作家の悩ましいところかもしれない。

 

 

7月の手術以降、そういえば映画に行っていない。