3月がいく。さまざまなことあった桜かな、である。

   3月が終わる。一週間ほど前から咲き始めた桜が、今日ほぼ満開に。境川河畔の散歩道の枝垂れ桜も真っ白な花びらを散らし始めている。


 3月になって気温が10度を超える日にはライもいっしょに散歩をする。

 朝食を終えて「散歩、いく?」と声をかけると飛び上がって足にまとわりつく。

 マンションのエントランスを出るとすぐにウンチをする。そしてそのまま木蓮が咲いている坂を降りようとすると四肢を踏ん張って行き渋る。帰りたそうにマンションの方を振り返る。ウンチさえすればサンポはどうでもいいのか。サンポという言葉はライにはうんちと聞こえているのかもしれない。いずれにしろ犬の気持ちはむずかしい。

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庭でたった一つなったゆず。3月初めにヒヨドリのえさに。
 

 境川の河畔、大きな犬とすれ違うと、ライは目を合わさないようにして道の端によってやり過ごそうとする。

 わざわざ寄ってきて匂いを嗅ぐ小型犬も多いのだが、人見知りならぬ犬見知りとでもいうのだろうか、ライは迷惑そうにからだを斜に向けてよける。

 歩くときは不安そうに何度も私を見上げる。つれあいの後ろ姿が安心材料のよう。

 

 いつのまにかモノトーンの季節から花々が色鮮やかに咲く季節になった。少しだけ散り始めた花びら、満開の桜にライがよく似合う。親バカか。

 

 Mさんの告別式、日帰りで戻ったのが23日。ひどく疲れた感じがして24日は一日中、寝たり起きたり。

 25日の早朝にまた訃報が。会津に住む従兄が亡くなった。66歳。白血病である。

 一年前に心筋こうそくで倒れ、その後白血病を発症。長い入院生活が始まった。

 

 11月に見舞ったときには驚くほどに意気軒昂、正月に電話をくれた時にも声に張りがあった。しかし3月に入って急に病状が悪化、回復することなく不帰の人となった。

 

 夏から何度か小説を送った。はじめは新刊を送っていたが、お金もばかにならないから、作家を絞って自分が読んだ本を送った。「おれの好み、よくわかったねえ」と云われた。嬉しかった。

 彼は、早く亡くなった私の実母の実家の跡取りなのだが、この家に私は父や継母につれられてよく遊びに行ったものだった。


 親戚、いとこ同士などとというものには微妙な距離感があるものだが、小さい頃はともかく、私たちも物心ついたころにはなんとなく疎遠になった時期があった。

 成人してから親の代わりに親戚づきあいをするようになると、互いの立ち位置がはっきりするのか、また親しく付き合うようになった。同じ系統のいとこ会も細々と続いている。そのいとこたちの中で最初の物故者が彼ということになる。

 

 あすが告別式。一昨日には『雪、-1度』の予報が出ていたが、雪は先送りになった。「曇り一時雨」の予報。翌日は2月に亡くなったつれあいのいとこの納骨。喪服の着通し。何とも気の重い帰省である。

 

 

 暇に飽かせてだらだらと本を読み映画をみる。忘れる。まれに「これは読んだかな」と思いながら、最後まで読んでしまうこともある。読むこと、みることに意味はあるのか?ほとんど、ない。

 1月から見た映画、読んだ本の記録。

凍原(桜木紫乃・2012年・小学館)★★★★手練れ、というのだろうか。
俺俺(星野智幸・(2013年・新潮社)★★★★★小説の可能性。
呪文(星野智幸2015年・河出書房新社)★★★★面白い。

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地球星人(村田紗耶香・2018年・新潮社)★★★★★やっぱりすごい。
消滅世界(村田紗耶香・2015年・河出書房新社)★★★★ただものではない。
同時代小説(斉藤美奈子・2018年・岩波新書)★★★★力業。
小説の聖典いとうせいこう奥泉光・2005年集英社)★★★★大事な仕事。
それを愛とは呼ばず(桜木紫乃・2015年・幻冬舎)★★★ストーリーテラー
霧・ウラル(桜木紫乃・2015年・小学館)★★★★道東の空気。
坂の途中の家(角田光代・2016年・朝日新聞出版)★★★★★綿密、丹念。

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森に眠る魚(角田光代・2008年・双葉社)★★★★★同上。
死の島(小池真理子・2018年・双葉社)★★★★良い。けれど高村薫の『土の記』を再読したくなる。

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ラブレス(桜木紫乃・2013年・新潮社)★★★★
ルポ思想としての朝鮮籍中村一成・2017年・岩波書店)★★★★貴重な仕事。
在日一世の記録(小熊英二姜尚中編2008年・集英社)★★★★
バラカ(桐野夏生・2016年・集英社)★★★震災小説?成功しているのだろうか?
星の子(今村夏子・2017年・朝日新聞出版)★★★★★注目!

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硝子の葦(桜木紫乃・2014年・新潮社)★★★★
起終点ターミナル(桜木紫乃・2015年・小学館)★★★★★ずぬけて文章がいい。

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島々清しゃ(2016年・日本・100分・監督:新藤風・主演:伊藤葵・安藤サクラ)★★★
ふくろう(2003年・日本・119分・監督:新藤兼人・主演:大竹しのぶ)★これは駄作でしょう。
ザ・ウオーク(2015年・アメリカ・123分・原題:The Walk・監督:ロバート・ゼメキス・主演:ジョセフ・ゴードンレビット)★★★★楽しめた。しかし、やはり高所映画?は苦手だ。『クリフハンガー』もそうだった。

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アジョシ(2010年・韓国・119分・原題:THE MAN FROM NOWHERE・監督・イ・ジョンボム・主演:ウオン・ビン)★★★★韓国映画らしい味のある映画。

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三文役者(2000年・日本・126分・監督新藤兼人・主演:竹中直人・荻野目慶子)★★
傷だらけの二人(2014年・韓国・120分・原題:Man in Love・監督:ハン・ドンウク・主演:ファンジョンミン・ハン・ヘジン)★★★★先が読めるけれど、みてしまう。
義兄弟(2010年・韓国・116分・原題:SECRET REUNION・監督:チャン・フン・主演ソ:ン・ガンホ)★★★★ソン・ガンホカン・ドンウォンが対照的で魅力的。
皇帝のために(2014年・韓国・104分・原題:For the Emperor・監督:パク・サンジュン・主演:イ・ミンギ・パク・ソンウン)★★★野球のシーンがもっとあるといいのに。

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あぜ道のダンディ(2011年・日本・106分・監督:石井裕也・主演:光石研)★★★わかるけど、ほらここツボだよ、というあざとさを感じてしまう。
ミッションインポッシブル・ゴーストプロトコル(2011年・アメリカ・135分・監督:ブラッド・バード・主演:トム・クルーズ)★★★★これ、見逃していた。唸る。
7S(2015年・日本・96分・監督:藤井直人・主演:深水元基)★★こなれていない。
長い散歩(2006年・日本・136分・監督:奥田瑛二・主演:緒形拳高岡早紀)★★★長すぎる。
ナチスの犬(2012年・オランダ・118分・原題:Suskind・監督:ルドルフ・バン・デン・ブルグ・主演:ユルン・スピッツエンベル)★★★★邦題、イメージを狭めている。

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ミザリー(1990年・アメリカ・108分・原題:Misery・監督:ロブ・ライナー・主演:キャシー・ベイツ)★★★★何度目だろう。キャシー・ベイツが見たくなる。
インターステラー(2014年・米英合作・監督クリストファー・ノーラン・主演マシュー・デヴィッド・マコノヒー・アン・ハサウエイ)★★★★★ついていくのが精いっぱい。いやついていけたのか?

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まく子(2019年・日本・108分・監督鶴岡慧子・主演南雲慧ほか)★★★子どもはリアリティがあるのに大人は・・・。期待外れ。
グリーンブック(2018年・アメリカ・130分・監督ピーターファレリー・主演ビゴ・モーテンセン)★★★お前はどこに立ってこの映画をみているのか?と自問自答。いい気持ちにさせられる寸前でしばし沈思黙考。

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 大阪場所。早朝のNHK、相撲ダイジェストをよく見た。

 貴景勝大関昇進の口上。相撲に「武士道精神」はいらないでしょう。悩み続ける等身大の若者、貴景勝でいい。

 白鵬の三本締め。横綱審議会からクレームがついた。処分が出るかもしれないとのこと。『まだ「神送り」が終わっていないのに一力士が勝手にしめるな』とのこと。そんなに神がかっているなら暴力根絶など簡単な話だ。いや旧日本軍を考えれば、神がいるからこその暴力温存か。
 服部桜、今場所も負け続けている。宇良、休場。照ノ富士、序二段で優勝。二人とも早く戻ってきてほしい。