九州場所小括「175㌢の貴景勝が、自分より大きい力士に対して力負けせずに前へ出て突いていき、ここぞというところで見せるいなしと突き落とし、小気味のいい相撲が多かった。」

 前回、ライを入れる袋のことを“ハンモックのような”と書いた。名前を知らなかったのだ。もともとのライの飼い主、紗英と亮成の母親、つまり私たちの長女からラインで「あれはドッグスリングといいます」とメールが入った。調べてみるとバッグスリング、あるいはバックスリングという言い方もあるようだ。
 こう書いてもなかなかイメージがわかないと思うので、Amazonの画像を拝借する。

f:id:keisuke42001:20181127103905p:plain

若い女性がこんなふうに愛犬を入れて歩けば“さま”になる。しかし私が架けてライを入れると、ライがことのほか小さく見えて、袋と私ばかりが悪目立ちしてしまう。よくよく目を凝らさないとライが目に入らない。スリングというより、散歩に頭陀袋を下げて・・・このおっさんは何を考えているのか、といった具合になる。それでも犬好きの人は、私などには目もくれないで、ライをまっすぐに見ているのだが。


 このスリング、効用としてはからだを密着するので鼓動が伝わり、犬は安心して眠ってしまうというもの。犬を赤ちゃんに置き換えれば、前面仕様の「抱っこひも」のようなもの。

 飼い主にとって小型犬は、どんなに歳をとっても赤ちゃんのようなもの。周りから見ていると、そこまでしなくてもという向きも多いのではないか。私もついこの間まではそう思っていた。もともとチワワはそれほど散歩の必要のない犬。自分たちの散歩の時間を犬に無理強いするわけにもいかないので、40分のうち10分から15分はスリングを使うことになるわけだ。だったら置いていけばいいのに・・・。私もそう思っていた・・・。


 きりがないので、この話はここでやめる。どうも私はライにぞっこんらしい。

 

 九州場所が終わった。白鵬鶴竜、そして稀勢の里、後半には豪栄道も休んでしまった。お金を払っているわけではないから「金返せ!」とは言えないが、なんとも締まらない場所であった。


 日曜日に遊びに来た次女のところの3歳になる暁人は栃ノ心のファンだが、今場所怪力ぶりも影を潜め、成績も8勝7敗と今一つ。つれあいが好きな妙義龍は何とか8勝して勝ち越したが、嘉風は7勝8敗と負け越し。私の好きな北勝富士は7勝8敗。


 これといった用事のないときは、17時ごろからNHKの実況中継を見始める。17時半前には気がつくと手にはハイボール。いよいよ三役力士が登場し始め、いやがうえにも館内の空気は盛り上がり始め…ない。なんだか締まらないのだ。


 そろそろ「時間いっぱいだな」と思ってみていると、また仕切り? 一回分、いつものより多い。大関の取り組みになると2回分ぐらい多い気がする。日本相撲協会NHKとしっかり結託しているから18時にきっちり終了するように調整をしている。延びることはまずない。時間が余るということもあまりない。1,2分の余りならば「ただ今の取り組みをもう一度」ということで録画を見せる、あるいはインタビューを長くする。
しかし横綱3人と大関1人の4人がいなければ余る時間は20分にもなってしまう。
ではこのへんで場つなぎに「北の富士さんのトークショー」でも、なんて挟んでもらえれば嬉しいのだが、そうもいかないのでだらだらと仕切りの回数だけが増えることになる。


 そのうえ最近また「手つき」の判断があいまいになっている。
 片方の力士が両手をしっかりついて待っているのに、自分のタイミングだけで、手をつかずに立とうとする力士もいる。これを制してやり直しを命ずる行司もいれば、そのまま「立ち合い成立」としてしまう行司もいる。勝負審判員が思わず手をあげて止める場面もある。

f:id:keisuke42001:20181127104156j:plain私の好きな行司6代木村玉治郎


 力士からすれば、立ち合いのやり直しは体力、気力、作戦すべて今一度クリアすることになるから負担が大きい。出来れば止めてほしくないし、行司は行司で18時までと限られた時間のこともあるから、まあこのへんでいいっかと立たせることになる。ところが、今場所は時間がある、よし、せっかくだからきっちり行こうか、という会話があったのかどうかは分からないが、やり直しが多いような気がする。


 いつも思うことだが、相撲の“立ち合い”というやりかた。多くのスポーツの中でも特異なものだ。ふつうは審判が「始め!」「プレイボール!」と声をかけたり、「ジャンプボール」を仕切る。ホイッスルも吹く。ところが相撲は違う。「行司の軍配返りました!」と言っても、それで勝負が始まるわけではない。行司は双方が準備をする前に軍配を返して待つだけ。あとは両者が呼吸を「合わせて立つ」。つまり試合の始まりはぶつかり合う力士同士が決めるのだ。
早く先手を取りたいと思えば、手をつかずに立ちたいもの。両方がそう思えば、早めに手をつかないで立つことになる。私が小さかったころ、手つきはそれほど重視されていなかったように思う。しっかり手をつく力士は少なかった。
しかしこれが高じていくとどんどん手をつかないで立つことになる。手をつく力士とつかない力士の差も出てきてしまう。嘉風逸ノ城などはしっかり両手をついて待っているが、栃煌山などは相手がどれほど早く手をついていようとも、じりじり足の指でタイミングをはかってなかなか立たない(うちでは栃煌山を別名じりじり山と呼んでいる)。どこかで規制しなければということで「手つき」をきちんとやらせようということになったのだろう。


 で、この手つきをどうジャッジするかが行事や勝負審判で基準があいまいなことが、「締まらない」につながっていく。

 

 千秋楽に貴景勝は好調の錦木に勝った。高安は番付が下の御嶽海に力負け。これで貴景勝の優勝が決まった。貴乃花親方の退職、部屋がえ、そして貴乃花夫妻の離婚という激動の中での優勝。今日の東京新聞の「筆洗」は、貴景勝父子を親子鷹と讃え、さらに貴乃花親方の指導を大きく評価、「親子貴」と結んでいる。

 175㌢の貴景勝が、自分より大きい力士に対して力負けせずに前へ出て突いていき、ここぞというところで見せるいなしと突き落とし、小気味のいい相撲が多かった。先場所優勝した御嶽海は負け越し。2年目のジンクスならぬ次の場所での勝負、またテレビであの丸っこい姿が見られるのを楽しみにしている。


 付け足し、三段目で宇良が優勝している。幕下で蒼国来が優勝している。二人とも幕内で活躍していた力士だ。
残念ながら郷土の力士、序の口西28枚目服部桜は全敗の7敗。一番下の29枚目の矢田が服部桜に勝って1勝しているため、来場所はまた番付最下位ということになる。

f:id:keisuke42001:20181127104332p:plain3月場所の服部桜