K先生の名誉回復の闘い、市教委の謝罪によって5年間の闘いに幕を下ろすことができた。

   先週半ば、小旅行に出かけた。旅行と言っても春秋恒例の兄弟の会なのだが、今回は次兄夫婦と私たちの4人で鬼怒川温泉に逗留。依然と違ってあちこち観光するようなことはほとんどない。宿も常宿。


 長兄は急な鼻の手術があり、入院していたため二人とも不参加。宇都宮在住のため帰り道に前橋在住の次兄夫婦と4人で顔を見に寄る。3つずつ違いの男ばかりの3兄弟、3夫婦。まだ誰一人欠けることなく和気あいあいと話ができるのは幸せなことかもしれない。


 戻ったら、信州高遠、伊那谷の五合庵から手紙。今回は何人で来るのかという問い合わせ。予定は11月末。指定されている。

 一日一組しか客をとらない宿、訪れるのはほぼ常連だけなので宿泊日は宿の方が決めるシステム。土日はダメだとか火曜日は外してと伝えておくと、それに合わせて毎年、年賀状で宿泊日が知らされる。ここ数年は年に2回。料理が同じにならないよう季節も重ならないようにしてくれる。

f:id:keisuke42001:20181030101135j:plain離れからの風景


 メールで「御地はもうかなり冷え込んでいるのでしょう。横浜はまだ霜もおりていません。楽しみにしております。今回は我々二人でまいります」と送ると「・・・山は日に日に冷え込んで朝は4度とかの気温です。暖かい服装でお越しください。楽しみにお待ちしております」との返信。

 標高が1300㍍ぐらい。部屋からは一本の電線も見えない。入笠山の静かなたたずまいだけ。

 老夫婦が二人で経営している。チェックアウトが11時。その日は客は取らないそうだ。

 このお二人と話をしながらの夕、朝食が楽しい。今まで一度も「そろそろお時間で…」というのを聞いたことがない。気がつけば夕食が3時間を超えていたり、朝食を2時間もかけて食べていたり。「実家に帰ってきたみたいだ」とつれあいは言う。実家のない身となってしまった私たち夫婦には、ここは確かに実家のようなところ。居心地と料理、そしてお風呂に静かな時間、ささやかな楽しみのひとつである。

 

 


 
 9月17日に、生徒への不適切行為で処分されたK先生の話を書いた。5年間の顛末について簡単にまとめた文章を載せた。


 この勝利裁決、市教委にとっては敗北裁決だが、裁決書という紙の上だけの決着に終わらせてはなるまいと、この半年近く市教委人事課と折衝を重ねてきた。その結果、ようやく場の設定が決定、先日10月22日に双方の代理人(弁護士を含む)が集まり、会談を行った。


 5年前のちょうどこの日、私はK先生から初めての電話を受けている。K先生は数日前から「出勤しなくて良い。いつでも連絡をとれるように」と管理職から言い含められていた。年休という名目だが、実質的には「閉門蟄居してお沙汰を待て」ということ。処分量定表をテーブルに置き、どれにあたるか胸に手をあてて考えて見よ、という刑事ドラマでもやらない決めつけの行きついた先がこの年休の強制。罪人扱いであった。


 私は「休んでいると、認めたことになる。明日は出勤すべし」とアドバイス。顔を見たこともないけれど、即組合加入。明後日には教育委員会と交渉に入った。


 あれから5年である。担当の教職員人事課長は冒頭、以下のように述べた。

 

 教職員人事課長の○○です。
 教育委員会の事務局を代表いたしまして、このたび人事委員会事務局より平成26年1月にK教諭に対して教育委員会が行いました 減給10分の1、3か月の懲戒処分につきましては、平成30年4月18日、これを戒告にする、修正するとの裁決が人事委員会よりありました。
 裁決では教育委員会が行った処分では、処分対象となる事実の認定および量定の採択において妥当性を欠くものであったとされ、これを戒告に修正されたことを大変重く受け止めております。
 まず、「事実の認定について妥当性を欠く」とされたことについてですが、人事委員会における裁決では、平成25年10月にした校長が本件について、はじめてK教諭に聞き取りを行った際、処分量定表を見せ、「不適切なことはないか、不適切なことはしていないか、心当たりはないか」とだけ聞いて、具体的なことを伝えず曖昧な聞き方をした。校長がK教諭に具体的なことを確認していない時点で、校務を外すことを伝えるとともに、保護者に対し生徒に負担をかけていることなどについてお詫びした。
 これらの点について、「学校として請求者が非違行為を行っていたことを前提として聴取を行っていることを裏付けている」と指摘されました。
 また、当時2年生であった生徒は、学校に話を聞いてほしいと訴えてきたにも関わらず、学校は話をきいておらず、聴取が必要であったと思われる生徒に聴取していないと指摘された他、1年生についてもより慎重に聴取対象者を選定すべきであったと平成24年9月16日の下着の肩ひもを引っ張る行為について、複数の証言があるとはいえ処分対象行為とするに当たっては事実確認をより慎重に行うべきであったとも指摘されました。
 教育委員会が行った事実の認定について、裁決書では「処分者としてより慎重かつ中立的、客観的立場に立って対応すべきであったのであり、適切であったとは言い難い」とされました。
 次に「量定の選択について妥当性を欠く」とされたことについてですが、裁決では「本件について懲戒事由該当性があることに変わりはない」としながらも、処分者の調査方法にも至らない点があり、また処分者が主張する事実の一部については認定することができない。類似事例との比較の結果、本件処分はその量定の選択においても裁量権を逸脱した過分なものと言わざる得ない。従って「本件処分は事実の認定および処分の量定選択において妥当性を欠く」とされました。
 本件における事実認定および、その調査手続き等について裁決により指摘されたことを鑑みるとより慎重に行うべきであったと考えます。結果として過分な量定での懲戒処分を行い、K教諭には多大な負担をおかけしてしまうことになりました。
 教育委員会として改めて、人事委員会からの指摘を重く受け止めると共にK教諭に対して大変申し訳ないです。以上でございます。

(録音を起こしたもの)

 

 人事委員会は教育委員会の事実認定を、事情聴取が恣意的であいまいとしてかなりの部分否定した。
 下着のひもを引っ張ったということについても、裁決は証言をいちいち取り上げながら検討、「ありえない」と断じている。K先生のクルマの中にエロ本があったという証言なども、実際にあった雑誌は「ビッグコミックスピリッツ」であったことからしても、多くの事実が歪曲されたものであった。


 膨大な一つひとつの証言を突き合わせて、その矛盾点を突いた裁決書は一つの作品と言えるほど論理的にしっかりしたものだった。欠点と言えば「本件について懲戒事由該当性があることに変わりはない」としたことだが、これは公平機関とは言え、行政組織の一部である人事委員会の限界であると思う。


 会談は、1時間半に及んだ。最後に再び人事課長からお詫びのことばがあった。
 前例のない「会談」ではあったが、市教委は自らの瑕疵をしっかり受け止め、謝罪を行った。これもまた前例のないものだった。
 

 だからと言って、これでK先生の名誉の全面的な回復がなされたとは言えない。時計の針を巻き戻すことはできないからだ。

 組合や弁護士、支援の人々たくさんの人たちのささえがあってこそのこの日である。

 ともに祝杯をあげたい。K先生、ご苦労様でした。よかったね。

 

 

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