不急の110番通報が全体の2割。ゴキブリが出たというだけでなく、室内で不審な音を聞いたという独り暮らしの老人が110番することはないだろうか。頼るのが警察しかないいう人もいるだろう。152万件の不急の110番通報には、だれにも不安を訴えられず致し方なくかけてしまった人たちの数も含まれるのではないだろうか。

1月13日

今日、成人の日。

詳しくは読まなかったけれど、yahooニュースに成人式発祥の村、という記事があった。

3日に村で成人式が行われ、とっても「温かな式」だったという趣旨の記事だ。

 

10年ほど前から各地の成人式が報道されるようになった。

 

ド派手なコスチュームに身を包んで、係員の制止も聞かず、壇上に上がり、身勝手な行動を繰り返す若者たち。若者は派手さと乱調ぶりを競う合うようにみえた。

 

最近はそういう報道がほとんどない。

 

最近、沖縄の若者たちは、みんなが集まって汚れたところを掃除をしているという小さな報道があった。

 

ニュースをつくる人たちが、若者が静かに掃除をしている姿より、壇上で暴れまわっている方が絵になると考えるのはわからないではない。

 

では、「温かな成人式」は?

成人式発祥の村、だからこその記事だろう。単にほのぼのとした成人式など報道する側からすれば、犬がひとを噛んでいるの例えのようにインパクトがないからだ。

 

どうして「荒れた成人式」の報道が好まれるのか。

 

つい先日、110番通報のうち、不急なものが2割もあったという記事があった。

 

家の中にゴキブリがいる、今日は何日ですか、酔っぱらって帰れないからパトカーで送ってほしい、信号を設置してほしいなどの不急の110番通報があったという。記事のまとめは、そんな場合、警察相談用番号に電話してほしいという記事だった。

 

 

ニュースをつくる側も、読む側も、そんなまとめにはあまり興味がないのではないか。

実は、極端にピンボケな110番をした人たちをどこかで半分こけにしながら笑っている、というのはうがちすぎだろうか。馬鹿じゃないの?そんなんで110番するなよ、という具合に。

 

記事には、

「同期間の受理件数は829万9775件で、前年同期間より5万9937件少なかった。緊急の対応が不要な通報は、前年同期よりも7万9179件少ない152万4542件だった。」

 

不急の通報が8万件近くも減っていることや、不要な通報の詳細な分類は報道されず、ただただ極端でおかしな110番通報だけが取り上げられる。

 

どこかに壁があって、その壁の向こう側には非常識な人たちが住んでいて、その人たちが非常識な行動で公に迷惑をかけている。

 

成人式で暴れる若者たちも、自分たちとは地続きでないところに住んでいて、無法な乱痴気騒ぎを繰り返している。

 

生活保護を貰っている人たちの中には、働けるのに働かないで、お酒を飲んだり、パチンコばかりしている人たちがいる、といった批判のたぐいの話と、これはよく似ている。

 

あわてていて、間違って110番通報してしまうことはないだろうか。

私は、妻が明け方に産気づいた時119番通報をしてしまったことがある。非常識な若者だったことは認めるが、慌てていて判断力が鈍っていたことも事実だ。

 

ゴキブリが出たというだけでなく、室内で不審な音を聞いたという独り暮らしの老人が110番することはないだろうか。頼るのが警察しかないいう人もいるだろう。152万件の不急の110番通報には、だれにも不安を訴えられず致し方なくかけてしまった人たちの数も含まれるのではないだろうか。

 

誰しもがそこそこの生活ができて、間違いを犯すことなく生活していければ、それに越したことがない。

しかし、若者たちの中には成人しても仕事がなく、正規の仕事を求めても非正規の不安定な仕事しかない若者たち。

それでも成人式だとなれば、まっすぐでまとうな?道を歩む人たちとは違うかたちで、おれたちだってここで生きてるよって表現したくなる気持ちはわからないでもない。

 

地域によって失業率や経済格差が大きいこの国の現状を冠上げずに「そっち側」を笑うことは、格差を容認し、固定化しようとする人たちにとっては都合のいい話だ。

 

生活保護費を違法にかすめとるごく少数の人たちの裏に、貧窮して爪に火をともすように生活している人たちがたくさんいること、違法な人を見つけ出して罰することよりもそうした人たちを支えるのが行政の大きな役割であることは触れられず、生活保護Gメンのような取り組みが報道される。

 

自分の中にも、記事を面白がる面がないとは言えない。でも、時々そんな自分にうすら寒さを感じることもたしかだ。

 

こんなうまいものを知らなかったんだなあ、なんて「だもの」のおじさんのようにつぶやいてしまった。・・・手づくりの柚餅子に舌鼓。

11日、「街を耕す会・こうほく」で、話をする。菊名地区センター、和室。

発題は、私が「教員の働き改革」、元楠学園園長の武藤啓司さんは「学校の現状と地域における学び・育ち」について。

武藤さんの広がりのある話に比べ、学校の中の教員の働き方の問題はいかにも狭い。

 

学校の中での子どもたちの生きづらさと、教員の生きづらさは、今の社会の不寛容さと相まって底の方でつながっているのではないかと私は考えている。

しかし現実には生きづらさを感じる子どもたちにとって、教員は抑圧の装置の最先端部分と認識されてしまいがち。

子育てに思い悩む親たちにとっても、同じレベルで学校は目の前に立ちふさがる壁となっている。

最近、Twitterでみる若い教員、とりわけ非正規の教員のつぶやきには、つぶやきではなく叫びのようなものを感じてしまう。

 

学校、とりわけ職員室に広がる不寛容さの中で、Twitterでしか吐露できないぎりぎりの心情に対して、働き改革はほとんど有効性をもたない。

 

しかし、そういう非正規教員の「さけび」は、しんどさを抱える子どもや保護者には届いてはいないし、結びつくこともない。

「それはそれ、これはこれ」ではないと思うのだが。

 

いったん心理的な結束バンドのようなものを緩めてみて考え直すことはできないか。

 

そんなことを考えながら帰ってきた。

 

 

先日、知人からゆずもちを送っていただいた。

柚餅子(ゆべし)ともいうのだという。室町時代からの兵糧食だそうだ。

ゆずもちと柚餅子。

ふたつとも指すものが地方によって違ったり、同じだったり。

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ゆべしは

「柚子の実の上部を切り取った後、中身をくり抜き、この中に味噌、山椒、胡桃などを詰めて、切り取った上部で蓋をする。そして、これに藁等を巻いて日陰で1か月から半年ほど乾燥させる。食べる際には藁を外して適宜に切り分け酒の肴やご飯の副食物として用いる。」(Wikipediaから)

というもの。

それに対して私が知っていたのは、

「東北・北関東近辺のゆべしは、主に西日本で主流とされる柚子の菓子ではなくクルミの餅菓子となっている。柚子の産地から距離があり材料として使われにくかったため、材料として入手しやすかったクルミを入れる。江戸時代以前、クルミは貴重な蛋白源と脂肪分だった。味付けは醤油などがメインで砂糖や黒砂糖の甘みにより甘いものになっている。」(同上)

 

「かんのやのゆべし」という、お土産屋さんで売っているお菓子が、私の知っている「ゆべし」だった。似て非なるものである。

 

今回いただいたものを薄切りにしてクリームチーズをのせて食べた。初めての味。

滋味という言葉が思い浮かんだ。

こんなうまいものを知らなかったんだなあ、なんて「だもの」のおじさんのようにつぶやいてしまった。

 

包み紙が、習字の反故紙のようなものだった。開いてみるとかなり達筆。どういう由来があるのかはわからない。

 

今年の冬はまだ終わらないが、次の冬にはつくってみようと思う。

森法務大臣、ゴーン氏記者会見について「日本では捜査機関から独立した裁判官による審査を経て令状を得なければ捜査機関が逮捕することはできない」・・・山本敬之はなぜ逮捕されなかった?

昨日(8日)は、朝からひどい雨。散歩は中止。雨中、買い物に出かけたが、体感温度がかなり低かった。午後には日差しが出てきたが。

 

今日(9日)はうってかわって、ことのほかあたたかい。風もない。散歩ははなから手袋とネックウオーマーなし。

つい「小春日和の・・・」と云いたくなるが、小春は冬の季語。年が明けるとつかわない。

他に適当な言い方が見つからない。

春の訪れを感じさせる暖かい日、とでもいうしかないのだろう。

 

 

ゴーン氏がレバノンで記者会見。

f:id:keisuke42001:20200109152501j:plainyahooから

我が世の春か。とくとくとしゃべりたてたらしい。これを見た森法務大臣、こちらはなんだかたどたどしく、

 

「わが国の司法制度や運用について誤った事実をことさらに喧伝(けんでん)するもので、到底看過できない」

 

「身の潔白を主張するのなら、正々堂々とわが国の司法制度のもとで公正な裁判を受けるべきだ」

 

「弁護人とも自由に話し合える保釈中だったのに、旅券を提示せず不法に逃亡したのは子供たちにも説明できない信義にもとる行為だ」

 

人質司法と言われる現状について、あるいは拘留中にだらだらと漏れ続けるリーク情報について、入国管理のでたらめさについて、何も言っていない。

日本の裁判所は、拘留機関なんて検察の言うがままに延ばしてしまうんだから。

 

ゴーン氏が罪状の中身を抜きに「正義」をうそぶくのもおかしいが、世界から非難されている死刑制度、とりわけ暮れに執行命令を出した日本の法務大臣が、自国の司法制度の問題点を指摘せずに主張するのもおかしい。

 

ゴーン氏に対する国際世論の批判がどこか腰がくだけているのは、国際世論、報道が日本の司法に対して不信感をもっているからだ。

 

「日本では捜査機関から独立した裁判官による審査を経て令状を得なければ捜査機関が逮捕することはできない」

 

と森大臣は云うが、

裁判所が逮捕状をだしても、官邸に忖度する警察官僚が握りつぶす国。伊藤詩織さんを強姦した山本敬之はいまだに逮捕されていない。

 

こんなことが通用する国の司法、自国民である私も信用していない。

 

 

ゴーン氏の引き渡しだが、外交辞令は飛び交うが(これぞ比喩ではなくほんとうの外交辞令)、じっさいにゴーン氏の引き渡しとなると「話は別」。

 

2016年現在、日本は2か国、フランスは96か国、イギリスは115か国、アメリカは69か国、韓国は25か国と犯罪人引渡し条約を締結している。 (Wikipediaから)

 

日本はアメリカと韓国とだけしか犯罪人引き渡し条約を締結していない。

異様なほどの少なさ。

いまだに諸外国は日本と犯罪人引渡し条約を結ぼうとはしていない。

 

この数こそが、日本の司法の運用のおかしさを物語っている、といわれる。

何が問題か。

容疑者の人権が守られていない、ということだ。

極端な話、自国に逃げ込んできた犯罪人が、逮捕された国に送還されれば生存すら保障されないとなれば、当然のごとく引き渡しはなされないだろう。

 

日本では当たり前となっている容疑者への取り扱い、とりわけ辺野古基地闘争で逮捕された山城議長の長期拘留にみられる、罪状を認めなければいくらでも拘留を延長するというやり方は、諸外国では明らかな人権侵害と考えられている。起訴されればほぼ100%の有罪率、接見や拘留の環境、さまざまな制限、容疑者であるのにまるで犯罪者のような扱いをされる現状。ゴビンダ・マイナリさんのことも忘れられない。

 

日本のマスコミはたった2国としか犯罪人引渡し条約を結んもらえないこの国の「司法」について、なぜもっと厳しく批判しないのだろうか。

 

さて、昨日のレバノンでの記者会見、2時間を超えたと言われるが、当初予想されたゴーン氏の「失脚」に、一枚かんでいると言われる日本の政治家の名前は出なかった。

 

小出しにしながら揺さぶりをかけるという、ゴーン氏の流の手法なのだろうか。

そうやて、はたしてゴーン氏は逃げ切れるのだろうか。

 

日本は、一近代国家として諸外国との外交を積み上げ、どこに出しても恥ずかしくない制度改革を行うべきでないのか。そうして日本でまっとうな裁判をすることが、 

「身の潔白を主張するのなら、正々堂々とわが国の司法制度のもとで公正な裁判を受けるべきだ」

につながるのではないのか。

でも、そもそも「公正な裁判」ではないというのがあちらの主張。どこまで言っても平行線。

 

こういう国に住んでいることを一市民として忘れてはならないと思う。

 

 

 

 昨年後半(7月~12月)の映画と書籍の備忘録

 昨年後半(7月~12月)の備忘録。印象だけ★で

【映画】

『i 新聞記者ドキュメント』★★★(2019年/113分/日本/監督:森達也

『二人のローマ教皇』★★★(2019年/125分/イギリス・イタリア・アルゼンチン・アメリカ合作/原題:The Two Popes/監督:フェルナンド・メイレレス /主演:アンソニー・ホプキンスジョナサン・プライス/)

『キング・オブ・コメディ』★★★★(1983年/109分/アメリカ/監督・マーティン・スコセッシ/主演:ロバート・デ・ニーロ)

『チング・永遠の絆』★★★(2013年/122分/韓国/監督:クァク・キョンテク/主演ユ・オソン/キム・ウビン)

アイリッシュマン』★★★★(2019年/209分/アメリカ/監督:マーティン・スコセッシ

主演:ロバート・デ・ニーロアル・パチーノ

『ジョーカー』★★★★★(2019年/122分/アメリカ/監督トッド・フィリップス/主演ホアキン・フェニックス

さまよう刃』★★★(2014年/122分/韓国/原題:Roving Edge/監督:イ・ジョンホ/主演:チョン・ジョエン)

さまよう刃』★★(2009年/112分/日本/監督:益子晶一/主演:寺尾聰

『かぞくの国』★★(2012年/100分/日本/監督:ヤン・ヨンヒ/主演:安藤サクラ井浦新

『真実』★★★★(2019年/108分/フランス・日本合作/原題:La verite/監督・是枝裕和/主演:カトリーヌ・ドヌーヴ/イーサンホーク他)

『こんな夜更けにバナナかよ』★★★★(2018年/120分/日本/監督:前田哲/主演大泉洋高畑充希ほか)

『魂のゆくえ』★★(2018年/113分/アメリカ・イギリス・オーストラリア合作/原題:First Reformed/監督:ポール・シュレイダー/主演:イーサン・ホーク

『ボーダー』★★★(1981年/109分/アメリカ/監督・トニーリチャードソン/主演:ジャック・ニコルソン

『悪のクロニクル』★★★(2015年/102分/韓国/監督:ペク・ウナク/主演ソン・ヒュンジュ・パク・ソジュン)

『あの頃君を追いかけた』★★★★(2011年/110分/台湾/原題:You Are the Apple of My Eye/監督:ギデンズ・コー/主演:クー・チェンドンミシェル・チェン

『起終点ターミナル』★★(2015年/111分/日本・監督:篠原哲雄/主演佐藤浩市

『未来を花束にして』★★★★★(2015年/106分/イギリス/原題:Suffragette/監督:サラ・ガブロン/主演:キャリー・マリガン

魍魎の匣』★★(2007年/133分/日本/監督:原田眞人/主演:堤真一阿部寛ほか)

『帰ってきたムッソリーニ』★★★(2018年/96分/イタリア/監督:ルカ・ミニエーロ/主演:マッシモ・ポポリツィオ)

『新聞記者』★★★(2019年/113分/日本/監督:藤井道人/主演:シム・ウンギョン)

『永遠に僕のもの』★★★(2018年/115分//アルゼンチン・スペイン合作/監督:ルイスオルテガ/主演:ロレンソ・フェロ/日本公開2019年)

菊とギロチン』★★★(2018年/189分/日本/監督:瀬々敬久/主演:木竜麻生・東出昌大

『凪待ち』★★(2019年/124分/日本/監督:白石和彌/主演:香取慎吾

『兄消える』★★★(2019年/104分/日本/監督:西川伸廣/主演:柳沢慎一高野長英

『追憶』★★(2017年/99分/日本/監督:降旗康男/主演:岡田准一小栗旬

『沈没家族』★★★★(2018年/93分/日本/監督:加納土/主演:加納土)

『オールーシー!』★★★★(2017年/95分/日本・アメリカ合作/監督:平柳敦子/主演:寺島しのぶ南果歩

『ビブリア古書店の事件手帖』★(2018年/121分/日本/監督:三島由紀子/主演:黒木華

『東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故』★★★★(2019年/26分/日本/監督:河合弘之)

『アナと世界の終わり』★★★(2017年/98分/アメリカ・イギリス合作/監督:ジョン・マクフェール/主演:エラ・ハント/日本公開2019年)

『月と雷』★★★(2017年/120分/日本/監督:安藤尋/主演:初音映莉子高良健吾

【書籍】(7月~12月

『生命式』(2019年/村田紗耶香/河出書房新社/1815円)

『星が吸う水』2013年/村田紗耶香・講談社文庫/576円/単行本2010年)

『しろいろの街の、その骨の体温の』(2015年/村田紗耶香/朝日文庫/770円/単行本2012年)

『タダイマトビラ』(2017年/村田紗耶香/2017年/新潮文庫・539円・単行本2012年)

『諏訪哲二最後の三番勝負』2018年/諏訪哲二/文芸春秋/1320円)

『教育改革のやめ方-考える教師、頼れる行政のための視点』(2019年/広田照幸岩波書店/2090円)

『むらさきのスカートの女』(2019年/今村夏子/朝日新聞出版・1430円)

『一億円のさようなら』(2018年/白石一文徳間書店/2090円)

『錯迷』(209年/堂場瞬一小学館文庫/924円/単行本2017年)

『眩(くらら)』(2018年/朝井まかて新潮文庫/781円・単行本2016年)

『われらが少女A』(2019年/高村薫毎日新聞出版/1960円)

蜜蜂と遠雷』(上下)(2019年/恩田陸幻冬舎文庫/883円/単行本2016年)

『ぼくはイエローで、ホワイトで時にブルー』(2019年/ブレイディみか子/新潮社/1633円)

フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』(2019年/岩竹美加子/新潮新書/943円)

『呪いの言葉の解き方』(2019年/上西充子/晶文社/1936円)

『ひそやかな花園』(2014年/角田光代講談社文庫/883円/単行本2010年)

『誰にでも、言えなかったことがある』(2014年/山崎洋子/清流出版/1650円)

『教育という病』(2015年/内田良/光文社新書/943円)

『ブラック部活動』(2017年/内田良/東洋館出版社/1694円)

『教師のブラック残業』(2018年/内田良/学陽書房/1936円)

『「ハッピーな部活動」のつくり方』(2019年/内田良・中澤篤史/岩波書店/1040円)

『トリップ』(2007年/角田光代光文社文庫/629円)

『まともがゆれる 常識をやめるスウイングの実験』(2019年/木ノ戸昌幸/朝日出版/1887円)

靖国を問う 遺児参拝と強制合祀』(2019年/松岡勲/航思社/2280円)

『評伝 小室直樹』(上・下)(2018年・村上篤直・ミネルヴァ書房/各2640円)

『真景累が淵』(2007年/三遊亭円朝岩波文庫/990円)

『その声は、長い旅をした』(2019年/中澤晶子/国土社/1540円)

 

 

7月に胃がんの手術をして以降、映画も本も集中して見たり読んだりすることが難しくなった。大学の授業が始まったことや、加齢のせいもあるのだろう。映画何本か、本も何冊かはすでに触れているものがあるが、ほかにもいくつか印象に残っているものがある。ちゃんと触れておきたかったが、残念。

2019年後半、やりっぱなしの感があったので映画名、書籍名だけでもと、まとめてみた。

自分が読んだ本など公表するのは正直忸怩たるものがあるが、こういう形にしないと記録として残りにくいのも事実である。残らなくてもいいのではないかという気持ちもないではないが、僅かな足跡ぐらいはという気持ちもある。困ったものである。

沢村豊子の世界・・・1月4日 大倉山記念館

2020年の始まり。

昨夜は、わずかに降雪があったようだ。

外の気温4℃。東京は0.6℃とか。

 

昨日、大倉山記念館、芸人三昧の新春特別公演『沢村豊子の世界』へ二人で出かける。

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駅までバスで行くつもりが、休日ダイヤ、本数が少ないので歩く。

グランベリーパークの入り口まで13分ほど。ケーズデンキの跡地の臨時駐車場はほぼ満車。随所で配られる「案内」を見ながら歩いている人が多い。

小さなスケートリンクも子どもたちでいっぱい。

 

大倉山記念館に13時10分着。いつもながら駅からの坂道はきつい。

 

待合室で自販機のコーヒーを飲みながら開場時間を待つ。

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公的な施設で待合室があるのは珍しい。もともとは大倉精神文化研究所。天井も高く、椅子も古くて雰囲気がある。窓からの眺めも良い。

 

芸人三昧の胴元、小野田さんが顔を出す。

「正月4日はやっぱりきびしい」

満席にはならないらしい。

 

今日の会場はホール。小さなものだが、これもまた雰囲気があるホール。

 

開始5分前に沢村豊子師匠が見える。三味線をもっていない。軽く会釈をするとニコッと笑って返してくれる。まとっている空気が違う。

いつも通り着物姿。紫の柄の小紋。きまっている。粋というのだろう。

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前半は、はかま姿のぱぎやんこと趙博さんとのトーク

 

話題は、浪曲今昔。ほとんど初めて聞く話ばかり。浪曲には関東節と上方節があることも知らなかった。高調子と低調子の違いだけでなく、節回しがそれぞれ独特のものがあるとのこと。

 

さすがに趙さんもそのあたりの事情に詳しい。上方漫才と浪曲の関りの話も。

打ち合わせなしのトークというが、飽きさせない。

 

12歳の時に、偶然のように舞台に立ち、

「東京へ来るかい」

と言われ、以来ずっと「とり」で三味線を弾き続けているとのこと。83歳になる今も「曲師」として、浪曲界ではまさにレジェンドの存在。

私も、浪曲のことなど何も知らないが、初めて聞いた時から豊子師匠のファンになって

しまった。

 

胴元の話によると、今日の公演を決めたあと、五木ひろしの公演のオファーがあったのだとか。

つい素人はギャラのことを考えてしまう。どれほどの違いか。

 

話は、4年前に急死した浪曲界の風雲児、国本武春さんのことに。

倒れる直前もいっしょだったとか。

彼のことを語れば語るほど、こみ上げてくるのを抑えられない様子。

 

豊子師匠の記憶力はすごい。人の名前も場所も詰まることがなく、次々と出てくる。

 

気がつけば50分を過ぎている。休憩をはさんで、豊子師匠今度は太棹三味線をもって登場。

 

これまた12月に一度合わせただけという『紺屋高尾』を趙さんがうなる。

 

芸人というのはすごいものだ。趙さんには、映画一本丸ごと歌と語りで表現する「歌うキネマ」という芸があるが、これはピンでやる芸。浪曲は違う。曲師の豊子師匠との掛け合い。互いに高め合う芸。

 

40分近い話をほとんど何の齟齬も感じさせず聞かせてしまう。時には久蔵になり、ときには高尾になり、ナーレーションもやり・・・。すごい芸だ。

聴き入ってしまった。

豊子師匠の三味線と合いの手は、これまた絶妙のタイミング。至福の時間。

 

あっという間におひらきに。

アンコールは、趙さんのテーマソング『橋』を明るく歌ってしめた。

 

開場の外へ出ると、日が落ちて肌寒い。でも、いいものを聴いたあとは、胸のあたりが温かい。来るときに息の上がった坂も少しなだらかに感じられた。

 

大晦日、もう二人の夕食は終わり。 さて、これからどうするか。紅白歌合戦というのは苦手だ。 もういい加減、酔いは回っている。 寝るか。 今年中に目が覚めなければいいのだが。

晦日

今年は2人きり。静かな夜である。

明日には、明後日と子ども夫婦と孫たちがくる。

その準備を二人でする。

 

Mさんは、いろいろやらなければならないので大変。

私は、会津の郷土料理”こづゆ”をつくる。

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貝柱をだしにして、ダイコン、ニンジン、サトイモなどの野菜、シイタケ、きくらげ、などのきのこ、いとこんにゃくなどを入れ、醤油、塩、酒などで味をつけたもの。

さっぱりしたお吸い物。会津では容量の少ない塗りの椀にて供する。宴会ではお代わり自由という汁物。

 

それから伊達巻。2年程前からレシピを見ながらつくっている。

卵にはんぺん、しょうゆ、塩、だし、などを入れてミキサーにかけ、それをフライパンで焼く。

 12~3分で焼き上げる。

焼きあがったのを、簀巻きではやめに巻けば、広がらず伊達巻になる。

卵6個とはんぺん大一枚で、小さいものだが3本の伊達巻ができた。

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老人の夕食は早い。

さて、これからどうするか。

紅白歌合戦というのは苦手だ。那須川天心か?

もういい加減、酔いは回っている。

 

寝るか。

 

今年中に目が覚めなければいいのだが。

 

みなさん、よいお年をお迎えください。

② 今年みた 邦画ベスト5(順番はつけない)

今年は映画に不熱心な年だった。

映画館に足を運んでみた映画は40本足らず。ブログに記録の残っていない映画も多数。

 

TSUTAYAAmazonプライムで見た映画が、60本ほど。2018年に見逃し映画に良いものが何本かあった。それも記しておく。

 

 

② 今年みた邦画ベスト5(順番は付けない)

 

 ・『主戦場』

 ・『真実』

 ・『愛が何だ』

 ・『新聞記者』

 ・『金子文子と朴烈』

 

 

③ 2018年封切りの邦画ベスト5(順番は付けない)

 

 ・『君の鳥はうたえる』

 ・『寝ても覚めても

 ・『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』

 ・『生きているだけで、愛』

 ・『こんな夜更けにバナナかよ』